月城かなと・海乃美月の『DEATH TAKES A HOLIDAY』観劇、幸せな余韻

月組シアターオーブ公演『DEATH TAKES A HOLIDAY』を観て来ました。
この公演は公演中止があり公演期間が約半分になってしまったのが残念です。

私はたまたま終盤のチケットだったので先日、Orbに行ってきました。

月組『DEATH TAKES A HOLIDAY』のすべてが素晴らしかったです

一言で言って本当に素晴らしい作品でした。
観終わった後まず出てきたのが良質のミュージカル作品を観たという感想でした。

盆のないシアターオーブの舞台にわざわざ盆を作ってしまったという生田大和先生のこだわりのセットや、映像も駆使した演出の数々に感動しました。

死神のれいこちゃん(月城かなと)が手を触れると枯れて散ってしまうバラの花はどうなってるんでしょう?
ロベルト(七城雅)が戦死する回想シーンでの死神の目はきっとれいこちゃんの目を撮影したものなんでしょうか。
雨がしとしと振っている幻想的な映像などすべてが効果的で感心しきりでした。

そして何といっても魅力的な登場人物を演じるキャストのみんなのお芝居が素晴らしかったです。
そして歌も、ここは「歌うま」しかいない世界なのかと感心しました。
モーリー・イェストンさんの美しい楽曲の数々を素晴らしい歌唱で聴けて耳が幸せでした。

とくに主演コンビのれいこちゃんとうみちゃんはお芝居、歌ともに素晴らしい出来でした。
この作品はれいこちゃん、うみちゃんのトップコンビにとって代表作と呼べるものになるのではないでしょうか。
それだけに前半の休演が惜しまれます。
あー、再演の機会があればいいのに…と思います。

月城かなと:死神/ニコライ・サーキ

さすがお芝居巧者のれいこちゃん(月城かなと)です。
死神役を実に魅力的に演じていました。

最初のおどろおどろしい衣装とお面で登場した場面は、背中を曲げ右手の長い指を恐ろしく動かしながら喋る様子が本物の死神みたいで。
声にも人を圧倒するすごみがあって、そりゃ公爵(風間柚乃)もひっくり返るよね〜というほどの怖さ。

その死神が人間のサーキ王子の姿になって休暇を過ごし始めた時のキュートなお芝居がまた上手い。

ピンクのパジャマで目玉焼きを片手でつまみ上げたり、いろんな物に興味を示したり実にチャーミング。
公爵やお屋敷の人たちとのコミカルなやり取りもおかしくてたくさん笑わせてもらいました。

れいこちゃんも「コメディが一番難しい」と言っていました。
実際に人を笑わせるのは本当に大変だと思います。
しかし自然な感じで笑いをとれているのはさすがでした。

歌については、一日目の朝の場面で歌う「Alive!」はメロディラインが相当難しそうです。
NOW ON STAGEでれいこちゃんが「(あまりに難しいから)歌ってみてほしい」なんて言ってました(笑)
しかし舞台では、楽しそうに歌いこなしていました。

そして、人間の心を知ってから歌う魂のこもったソロの歌は聴いていて涙が出てくるほど感情がこもっていました。
歌もお芝居だという言葉をそのままに感じられるれいこちゃんの歌でした。

ここまで仕上げてきたれいこちゃんに脱帽でした。

海乃美月:グラツィア

今回私が、とくに驚かされたのがうみちゃん(海乃美月)の歌の上達でした。

これまでどちらかというとうみちゃんは歌より踊りの人という印象でしたが、今回はその歌唱力に驚かされました。
こんなに上手だったっけ?って。

発声も工夫したと話していましたが、21歳のロマンチストな女の子のグラツィアならではの歌声。
声だけで十分に表現できていたものがありました。

他の娘役出演者が誰も歌うまさんばかりですが、全然負けていません。
と言うか、クラシカルな歌い方ではうみちゃんが一番上手だったのではと思わされました。

そしてビジュアルです!
本当にプリンセスだなと思うほどの美しさ。

またロマンチストで他人とはちょっと違う不思議ちゃんな雰囲気を絶妙に表現できていました。
だからこそ、死神のニコライに惹かれてついて行く決意にも十分な説得力がありました。

その他のキャストも素晴らしい

風間柚乃:ヴィットリオ・ランベルティ公爵

ちなつちゃん(鳳月杏)が出演しているならきっとこの役はちなつちゃんがやっただろうなと思いますが、おだちん(風間柚乃)の公爵も全く違和感なく受け入れることができました。
本当にこの人のこの貫禄はどこから来てるんでしょうか(笑)

お髭もめちゃくちゃ似合っていますし、3学年も上のうみちゃんのパパというのも、副組長のさちかさん(白雪さち花)の旦那さんというのも納得できます。

コメディ部分も多く担当していますが、さすがです。
それでいて娘への父親の強い愛情を示す場面では泣かされました。

彩みちる:エヴァンジェリーナ

配役が発表になった時に一番びっくりしたのがみちるちゃん(彩みちる)のおばあちゃん役。
ですが、めちゃくちゃ上手でした。

夫を失った悲しみから記憶が曖昧になっている75歳の老婆を見事に演じていました。
そして、ソロで歌う場面もありましたが、すごく上手になっていたのにも驚きました。

路線娘役のみちるちゃんがこういう役を演じることにはいろんな意見もあるかと思いますが、きっとみちるちゃんにとってもよい経験になったと思います。
私は今回のこの役を見て、もっともっといろんなみちるちゃんを見てみたいと思いました。

佳城葵:フィデレ

こういうコミカルな役をやらせたら月組ではこの人の右に出る人はいないのではと思います。
おだちんの公爵とのやり取りも冴えていました。

いくつかの場面で言う「死ぬほど〇〇」や「〇〇です」という時の「です」を「DEATH」って言う小芝居があったりと、やすくん(佳城葵)ならではのフィデレでした。

その他のキャスㇳ

この作品は多くのキャストにソロで歌う場面があって、どの人のソロも素晴らしかったです。

さちかさん(白雪さち花)の公爵夫人が亡き息子を思って歌う歌が素晴らしすぎました。

エリック役のるねくん(夢奈瑠音)が親友を回想する約4分半の歌もすごかったです。
るねくんってこんなに歌える男役だったのね〜と感心しました。

アリス役のりりちゃん(白河りり)やデイジー役のおはねちゃん(きよら羽龍)も歌にダンスにお芝居にと大活躍。

グラツィアの婚約者のコラード役のれんこん(蓮つかさ)もグラツィアに一途でサーキ王子に嫉妬する役を好演していました。

そして、やっぱり英真なおきさんのダリオの温かさ、包容力は素晴らしいです。
みちるちゃんのエヴァンジェリーナとのお芝居はほっこりあったかい気持ちになれました。

他にも下級生たちもつい目を引くお芝居で、目が全然足りませんでした。

この作品はフィナーレなし

結末についてはいろんな感想があるようですが、私はあの結末でよかったと思いました。

れいこちゃん死神が言った「愛は死よりも強い」という言葉がぴったりきます。
一緒に観劇した友人もあの結末がロマンチックでよかったと言ってました。

そして、あの結末の後の余韻を残すように今回はフィナーレがありません。

どんな終わり方でも最後にフィナーレで明るく終わるのが宝塚のいいところです。それに異論はありません。
しかし、今回はフィナーレがなしですぐにカーテンコールになるこの終わり方が余韻に浸ることができてよかったです。
おかげでいまだに幸せな余韻に浸ったままです。

一度幕が下りてからもう一度幕が上がってれいこちゃんが「残りの公演も心を込めて務めてまいります」とご挨拶して大きな拍手が起こっていました。
本当に素敵な作品を劇場で生で観劇できて幸せでした。

  

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