鳳月杏、”次”への期待に応えた月組公演ライブ配信(『フリューゲル』『万華鏡百景色』)

一昨日11月19日に月組東京公演の千秋楽をライブ配信で観ました。

観劇予定の日が中止になってしまったために劇場では一回も観られないままでのライブ配信でした。
今はライブ配信で家でも観られるのが本当にありがたいですが、テレビの画面で観てあらためてセットや衣装の美しさに感動しました。
これはやっぱり劇場で生で観たかったです。

お芝居の『フリューゲル』もショーの『万華鏡百景色』も芝居の月組にふさわしく、芝居巧者のトップコンビをはじめ演技力のあるメンバーが揃っているからこそできる演目だったな〜と思いました。

そして、その中でも2番手男役のちなつちゃん(鳳月杏)の魅力が爆発していました。
お芝居でもショーでもちなつちゃんから目が離せませんでした。

鳳月杏、お芝居、ショーともに大活躍

『フリューゲル』では完全な敵役を好演

秘密警察ヘルムート役

この作品でちなつちゃんが演じたヘルムートは東ドイツの国家保安省の職員、いわゆる秘密警察の一員です。
れいこちゃん(月城かなと)演じるヨナスとは実は敵対する関係。

これまで『グレート・ギャツビー』のトム・ブキャナン役以外はれいこちゃんの味方の役が多かったですが、今回は完全なる敵役です。

いわゆる悪役というわけではなく、ヘルムート自身は国家への忠誠と自らの信念に基づいて行動しています。
ただ、テロという手段がいただけません。
学生たちをテロリストに仕立て上げたり、ヨナスを幽閉したりするのも自分では正義と思っています。ほんと始末が悪いです💦

しかしそれも、ちなつちゃんが演じるとカッコいいんです。

表面ではヨナスと仲良さそうに振る舞っていても、ヨナスが去っていく時に向ける目線がもうゾクゾクするほど悪いです。

衣装の着こなしが完璧

作品中大部分で着ているのが秘密警察の青っぽい軍服。
これまでこういう軍服はあまり着たことがないと話していましたが、これが完璧な着こなしでした。

元々スタイルがいいので何を着ても似合うんですが、それでも細かいところにこだわりがあるようです。

上着のベルトと拳銃のホルダー用のベルトを重ねて2本付けているんですが、そのバックルの位置を少しずらすというところにこだわったとカフェブレイクで話していました。
なるほど〜と納得です。
確かに2つのバックルが重なっていると格好悪いですし、あまりにずれていてもおかしい。
絶妙でした。

軍服以外にもチェックのスリーピースやロングコートを着ているシーンがありましたが、どれも一分の隙もない完璧でカッコいい着こなしでした。

最期は衝撃でした

東西ドイツの統一を阻止しようと暗躍していたのに、結局ベルリンの壁が崩壊してしまった時の衝撃を受けたヘルムートの表情がすごかったです。

歓喜に湧く街の人たちの中で放心状態に陥ったヘルムートがヨナスの後ろに見えて、ちなつちゃんすごい!と思いました。

その後頼りにしていたソ連にも見放されて結局自ら命を断つんですね。
このラストはライブ配信を見るまで知らなかったのでびっくりしました。

幕が下りる直前に銃口をこめかみに当てていたヘルムートの壮絶な表情が目に焼き付きました。
幕が下りて銃声がして幕が真っ赤に染まったのにも衝撃を受けました。

作品解説に「コミカルでハートウォーミングなミュージカル作品」とありましたが、ちなつちゃん演じるヘルムートは最後までシリアスで、この作品をグッと締めていたと思います。

れいこちゃん(月城かなと)のヨナスの温かさとちなつちゃん(鳳月杏)のヘルムートの冷酷さの対比がすごく効いていました。
それはやっぱり「ちなつちゃんだからこそ」だったと思います。

『万華鏡百景色』ではいろんな魅力が爆発

通し役の付喪神

『万華鏡百景色』ではプロローグからたくさんの付喪神が登場して、ちなつちゃん(鳳月杏)は万華鏡の付喪神。
たくさんいる付喪神たちの中の長(おさ)的な役を演じていました。

輪廻転生するれいこちゃん(月城かなと)とうみちゃん(海乃美月)の二人を時代を超えて見守る役割がぴったり合っていました。

人間ではない神なので、表情の作り方や歩き方はすごく考えたそう。
とくに急遽登場することになった昭和の闇市の場面では、いつの間にか現れてやはり二人を見守っていましたが、そこでも階段の上り下りに人間らしさが出ないように気を使ったとカフェブレイクで話していました。
あの場面はとくに人間ではない神らしさが出ていたと思います。

「地獄変」の場面

第三章の大正時代の場面でちなつちゃんはまず芥川龍之介として登場し、「地獄変」という小説を書いています。
そこからもう狂気が漂っていました。
それまでの付喪神とはまた完全に別人です。

すぐに「地獄変」の劇中劇のようになって、ちなつちゃんは芥川龍之介の格好のまま「地獄変」の主人公の絵師良秀になっていきます。
自分の娘が焼かれていく恐怖と、それを見ながら絵を描くことができる喜びの入り混じった表情がとんでもなくて、こんな顔は他の人にできるかな〜と思って見ていました。
この場面は表情をアップで見られるライブ配信で見られたのはよかったなと思いました。

この「地獄変」の場面は他の場面に比べると長めだったように思いますが、それでももっと見ていたかったです。
「地獄変」だけで一つの作品として観たいくらいでした。

中詰とフィナーレはショースターぶりを発揮

この作品は中詰からようやくショーらしくなって、月組生全員がピンクの衣装で歌い踊って客席降りもあります。

ここではちなつちゃんも付喪神ではなくピンクのお衣装の男役に戻ってショースターぶりを発揮していました。
やっとキラキラの笑顔のちなつちゃんが見られました♡

そしてフィナーレの最初は大勢の娘役を従えたちなつちゃんの大階段で始まります。
椎名林檎さんの「目抜き通り」を歌うちなつちゃんがいきいきしていました。

鳳月杏の今後は

『フリューゲル』も『万華鏡百景色』も評判通りとてもいい作品でしたが、ちなつちゃんが2番手だからこそ、この二作品がより良いものになっていたなと思いました。
もちろんトップコンビと3番手のおだちん(風間柚乃)の実力の高さもありますが、ちなつちゃん抜きでは成り立たない作品でした。

この体制で次のれいこちゃんのコンサート『G.O.A.T』、その次の大劇場公演が観られるのが楽しみです。

れいこちゃんとうみちゃんが退団してからの後任についてはまだ発表がありません。
カレンダー占いによるとちなつちゃんは二人の退団公演の後も劇団にいるようです。

このままちなつちゃんが次の月組トップスターなることもありそうです。

もしもちなつちゃんがトップになるとすると、研19でのトップ就任になえいます。
これまでの最高記録になりますね。

そういえばこの前『夢の音楽会』で共演した大空ゆうひさんとは境遇が似ている気がします。

新人公演主演を単独でしていない、月組から花組へ組替えしてもう一度組替えした、上級生2番手の時期があるなど。
大空ゆうひさんは『WEST SIDE STORY』の一幕のみ新人公演主演でした。
ちなつちゃんは『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』で同期の煌月爽矢さんとW主演のような形でしたね。

組替えも大空さんは花組から宙組へ異動してトップになり、ちなつちゃんは元いた月組に戻ってきたというところは少し違うでしょうか。

それでももしちなつちゃんがトップに就任するとしたら、この前『夢の音楽会』にゲストに招いたのも何か意味があったのかなと思ってしまいます。

月組次期トップスターの発表はもう少し先かと思いますが、待ち遠しいです。

  

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