先日東京宝塚劇場で星組『ロミオとジュリエット』A日程を観劇してきました。
宝塚版『ロミオとジュリエット』を生で観劇したのは、博多座で初演を観て以来です。
映像では今まで上演された全組分を観ていて、それぞれの役で好きな配役はあるんですが、今回の星組バージョンが一番配役のバランスがいいように思います。
瀬央ゆりあのベンヴォーリオがはまり役
その中で一番ぴったりだな〜と思うのがせおっち(瀬央ゆりあ)のベンヴォーリオ役です。
ライブ配信で観たB日程のティボルト役もとても魅力的だったのですが、A日程のベンヴォーリオが本当にせおっちに合っていてはまり役だな〜と思いました。
粗忽者のベンヴォーリオ
ロレンス神父様曰く「粗忽者のベンヴォーリオ」な訳ですが、ロミオ・マーキューシオ・ベンヴォーリオの3人の中では一番お兄さん的な存在で、一番しっかりしていて冷静なのではと思っていました。
なので、ロレンス神父様が「粗忽者のベンヴォーリオ」と言う度に違和感を覚えていました。
それが、この前タカラヅカカフェブレイクでB日程のベンヴォーリオ役のあかちゃん(綺城ひか理)が話していた事にものすごく合点がいきました。
ベンヴォーリオは粗忽者でそそっかしいので、ジュリエットが毒を飲んで死んだと聞いた途端よく確かめもせずにロミオに伝えに行ってしまったんだと。
なるほど3人の中では一番しっかりしているように見えるけれども、根本的にはそういう面があるからロレンス神父様に粗忽者と思われているんですね。
ベンヴォーリオはすごく友達思いで、ジュリエットが亡くなった事を伝えられるのはもう自分しかいないと思い悩んで、一人ロミオの元へ駆けつける情に厚い若者なんだけど、そのそそっかしさ故に悲劇を招いてしまったんですね。
そう考えるとロレンス神父様の「粗忽者のベンヴォーリオ」という言葉がものすごく意味のあるものに思えます。
そして、歴代のベンヴォーリオの中ではせおっちが醸し出す雰囲気が一番その表現に合っている気がします。
3人の中では一番しっかりしていて、友達思いで情に厚いけれど、実はそそっかしい。
そんなベンヴォーリオにせおっちはぴったりだな〜と思いました。
同期の礼真琴との絆
ベンヴォーリオはマーキューシオと2人でいる時間が一番多くて、その次はロミオも入れて3人でいる時間が多いです。
でもロミオと2人だけでいるのも2場面ほどあって、その場面を見ているとどうしてもロミオのこっちゃん(礼真琴)との同期の絆を感じてしまいます。
NOW ON STAGEでせおっちとこっちゃんがA日程ではロミオとベンヴォーリオの関係性を自分たちの関係性に重ねてしまうと話していました。
「本番ではそれを思うと泣いてしまって歌えなくなるので役に徹している」と言っていましたが、観ているこちらはやっぱり重ねてしまいますね〜
一幕の銀橋での2人の仲良さそうな芝居にほんわかしましたし、二幕のマントヴァでジュリエットの死を伝えたベンヴォーリオを突き放すロミオを見て切なくなりました。
そして、霊廟で息絶えて横たわっているロミオを見て悲しみ、愛おしそうに頬を撫でるせおっちのベンヴォーリオは涙無しには見られませんでした。
今まで観たロミジュリで一番2人の関係性に思いを馳せたのは、やっぱり2人の同期の絆を感じてしまうからかな〜と思います。
『どうやって伝えよう』
スカイステージの宝塚大劇場の時の映像で少しだけせおっちが歌う『どうやって伝えよう』を聴くことができましたが、その時にせおっち歌が上手くなったな〜と思った覚えがあります。
ですが、今回生で観てさらに歌唱力が進歩したな〜と感心しました。
そして、ロミオにジュリエットの死を伝えなくてはならない辛さと葛藤といった心情が痛いほど伝わってくる『どうやって伝えよう』でした。
曲の途中で胸の苦しさに膝をついたせおっちベンヴォーリオを見て、心臓を鷲掴みにされたように感じました。
最後の「伝えよう!」のところは決意を固めた強さを見せてくれました。
B日程のあかちゃんベンヴォーリオの『どうやって伝えよう』も素晴らしい歌唱力でよかったですが、私はせおっちの歌う『どうやって伝えよう』が大好きになりました。
今までこっちゃんの歌う『どうやって伝えよう』が一番だったんですが、せおっちのも同じくらい好きになりましたよ。
ベンヴォーリオの成長
これもあかちゃんがカフェブレイクで話していましたが、ベンヴォーリオは3人の中では大人のように見えるけれどやっぱり未熟な若者(「粗忽者のベンヴォーリオ」ですからねw)で、3時間の作品の中で最も成長していく人なんだそうです。
それまでたくさんの間違いをやらかして、ロミオとジュリエットが亡くなった後でようやく大人になる。
それを話していたのはあかちゃんなんですが、より大人になる成長が見えるのがせおっちのベンヴォーリオのような気がしました。
街にたむろしているやんちゃな若者(粗忽者のベンヴォーリオ)から、悲劇を経験して、最後には街の未来を担う中心になる。
霊廟の場面の最後で、和解した両家の人々が三角形に並んでその先端にいるベンヴォーリオの姿がそれを象徴していました。
ものすごく頼もしくて凛々しい姿でした。
フィナーレナンバーでのキラキラ感
A日程ではフィナーレの冒頭のいわゆる歌唱指導は愛ちゃん(愛月ひかる)担当なので、せおっちがメインになる場面は無いのですが、それでもどこにいてもせおっちに目が行っちゃうほどキラキラしていました。
そうそう、カフェブレイクでせおっちが話していた愛ちゃんと腕を組む振りでアイコンタクトを取るところ。
いつもはどっちか一人がウインクするのに、ある時だけ2人とも同時にウインクしちゃって笑いそうになってしまったって話してました。
そのウインクの瞬間を見逃さないようにオペラグラスで覗いていました。
残念ながらどっちがウインクしたかはわかりませんでしたが…
お話は悲劇ですが、このフィナーレでの皆んなのキラキラした姿を、そしてとくにせおっちのキラキラした笑顔を見ると幸せな気分に浸れますね。
期待通りの瀬央ゆりあベンヴォーリオでした
宝塚大劇場の公演が始まって間もない頃に「瀬央ゆりあの活躍が楽しみです」という記事を書きましたが、その期待通りのベンヴォーリオを見せてもらいました。
もしかしたら生では観劇できないかもと思っていましたが、こうして観ることができて本当に幸せでした。
この『ロミオとジュリエット』を通してさらにせおっちが進化していってくれるよう願っています。
応援しています!
読んで頂き、ありがとうございました。
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