天彩峰里が輝いた『夢千鳥』

5月8日19時より宙組和希そら主演のバウホール公演『夢千鳥』を視聴しました。

配信が始まってまずそらくん(和希そら)が夢二の衣装で登場し、視聴者へ語りかけた「このような状況の中で4日間お客様の前で舞台に立てたことは奇跡で幸せだった」という言葉にグッときてしまいました。

大変な状況下でも前向きに進もうとしているんだなと思いました。
そして、月曜日のタカラヅカニュースでも一部が放送され、改めてこの作品の素晴らしさを実感しました。

天彩峰里のヒロインとしての新境地

主演のそらくん(和希そら)の演技・歌唱・ダンスの素晴らしさはもちろんですが、今回ヒロイン役のじゅっちゃん(天彩峰里)の演技に本当に驚かされました。

天彩峰里は赤羽礼奈と他万喜の二役を好演

じゅっちゃんは今回そらくん演じる白澤優二郎監督の事実上の妻赤羽礼奈と、これもそらくん演じる竹久夢二の年上妻他万喜の二役を演じました。

赤羽礼奈

人気大物女優の赤羽礼奈は、他万喜と同じく夫の白澤監督と会えば喧嘩して言い争いになってしまう勝ち気な女性です。

助監督だった白澤を自分が引き上げてやったという自負と、女優として自立しているというプライドからか、他万喜と違って冷静。

白澤監督と口喧嘩してもどこか冷めている感じでした。

衣装は2着あったと思いますが、どちらも真っ赤で妖艶さが引き立つデザインの衣装で、じゅっちゃんの顔立ちと真っ赤な口紅によく合ってました。

出番は他万喜よりは少なかったですが、とてもインパクトのある役でした。

そして、今回二役で大変だったと思いますが、しっかり演じ分けができていて素晴らしかったです。

他万喜

他万喜は画家だった前の夫と死別した後、夢二と結婚し子供をもうけたけれど数年前に法律上は離婚しています。
それでも夢二と一緒に暮らし、夢二が描いた絵の雑貨や小物を売る店をやりくりしています。

そのせいで経済的にも精神的にも夢二に依存しているところが赤羽礼奈とは違うところでしょうか。

他万喜は赤羽礼奈よりもっと勝ち気で激しい性格。

夢二とは些細なことでいさかいになり、夢二の暴力も日常茶飯事のようですが、それを表現するタンゴのシーンが秀逸でした。

「憎しみ合うように愛し合っていた」というモノローグにあったとおり、夢二に平手打ちや首を締められてもその直後に激しいキスをしたりと、衝撃的なシーンでした。

そして、そんな暴力を受けながらも他万喜の方が夢二より強く見えるという、なんともすごい演技でした。

タカラヅカニュースの突撃レポートで言っていたと思いますが、喧嘩の後他万喜が伏して泣いているのを夢二が絵に描き始めるところで、他万喜は泣きながらも笑っていたそうで、そのじゅっちゃんの演技がすごいです。

赤羽礼奈は白澤監督に当てつけるように若い俳優と逢ったりしても、結局は監督を裏切れない純情なところがあるけど、他万喜は他の男とも関係を持って夢二に嫉妬させるようにする。

「もっと狂って、私に焦がれて」という歌が激しくて妖艶で凄みがありました。

自分は夢二のミューズで夢二が素晴らしい絵を描けるのは自分だけ、他の女性の所へ行っても必ず自分の所へ帰ってくるという自信があるようです。

それで、夢二が生涯で一番愛したと言われる彦乃と愛し合うようになっても、彦乃をお嫁にもらって一緒に暮らそうなどととんでもない提案までする。

それも夢二への愛の強さゆえなんですね〜

そんなめちゃくちゃな他万喜なのに、じゅっちゃんの演技で他万喜の行動もなぜか納得させられました。

夢二が愛した他万喜、彦乃、お葉という3人の女性のうち、一番深く夢二を愛して繋がっていたのは他万喜だったと思います。
お芝居では描かれていませんでしたが、史実では夢二が死の床についた長野に見舞いに行き、夢二亡き後も慕い続けたそうです。

じゅっちゃんの他万喜ならそうだろうなとその話を読んで納得しました。

これまでの役とのギャップ

天彩峰里、じゅっちゃんは100期生。

組まわりのあと星組に配属され、2017年にショー『Bouquet de TAKARAZUKA』で初エトワールに抜擢されています。
『夢千鳥』でも素晴らしい歌唱力を披露していましたね。

そして、その年の12月に宙組に組替えになり、2018年に『天は赤い河のほとり』で新人公演初ヒロインでユーリ役を演じています。

その年の和希そら初主演のバウホール『ハッスル メイツ!』でヒロインを務めていますが、これはショーがメインの公演でした。
その中のお芝居コーナーで、そらくんの相手役でキュートで可愛い女の子の役をやっていました。

それからキキちゃん(芹香斗亜)主演の『群盗』でアマーリアというヒロイン、ずんちゃん(桜木みなと)主演の『壮麗帝』ではずんちゃんの妹でそらくんの妻のハティージェ役とどれも高貴で可憐でおしとやかな役でした。

前回の大劇場公演『アナスタシア』では少女時代のアナスタシアの役で、愛らしい少女を演じていました。

なので、じゅっちゃんのイメージといえば可憐で可愛いイメージです。

『ハッスル メイツ!』の『激情』のコーナーでカルメン役をやっていたのが、ちょっと今回の役に通じているかな?

突撃レポートで「どこにそんな色っぽくて大人っぽいじゅりちゃんがいるの?」とそらくんやあきも(秋音光)に訊かれてましたが、本当にこれまでのイメージと全く違う二役でした。
ギャップがものすごい!

フィナーレナンバーでのヒロイン感

この作品では小劇場公演では珍しく20分ものフィナーレが付いていました。

男役を引き連れてのソロナンバー

真っ白なスカートの裾に羽がついたドレスで、白い羽扇を持った男役たちに囲まれてソロで歌うシーンが素敵でした。
留依蒔世くんや亜音有星くんにリフトもされていました。
このシーンだけでもやはりじゅっちゃんがこの作品のヒロインなんだな〜と思わせてくれました。

和希そらとのデュエット

その曲の途中で同じく真っ白な衣装で登場したそらくんとのデュエット。

それから男役群舞の後にも、この公演を最後に花組へ異動するあおいさん(美風舞良)の『夢路より』のソロをバックに黒燕尾のそらくんと白いドレスのじゅっちゃんのデュエットダンスがありました。

2人とも歌えて踊れるので、どちらも素晴らしいデュエットでした。

和希そらとの相性の良さ

上にも書いたこれまでの出演作でまず『ハッスル メイツ!』でそらくんとじゅっちゃんは組んでいます。
そして、『壮麗帝』では身分違いながらも愛し合い結婚する役で、とっても素敵な夫婦の役でした。

今回のお芝居の役はその2つとは全く違う役柄でしたが、フィナーレナンバーでの2人を見てるととっても相性がいいな〜と思いました。

2人とも澄んだ歌声なので、歌の相性もよかったです。

これからの天彩峰里が楽しみです

今年で研8になったじゅっちゃん。

雪組から組替えしてきた2期下のじゅんはなちゃん(潤花)がトップ娘役に就任したので、これから宙組でトップ娘役になるのはちょっと難しいかな〜とは思いますが、雪組新トップ娘役のひらめちゃん(朝月希和)や月組次期トップ娘役のうみちゃん(海乃美月)の例もありますからね。希望は捨てていません(笑)

でもトップ娘役にならなくても、今回こんな演技を見せてもらえたので、外箱公演でのヒロインや、大劇場公演でもかなり重要な色濃い役もまわってくるんじゃないかな〜と期待しています。

今回の『夢千鳥』をみて、じゅっちゃんにはまたそらくんと組んでほしいなと思いました。

  

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