『龍の宮物語』についてあらためて深く知ることができた番組でした(マイスターの教え リターンズ 星組『龍の宮物語』)

スカイ・ステージのオリジナル番組『マイスターの教え』は2015年から約4年にわたって放送されてきた人気番組でした。
専科のマイスターのお二人、夏美ようさんと英真なおきさんが交代で本公演以外の作品を取り上げ、出演者達の見えざる苦労や工夫、こだわりのポイントなどに着目しながらゲストとトークを繰り広げる番組です。

全50回を終えて一旦終了していたこの番組が『マイスターの教え リターンズ』として今年戻ってきました。
第1回が『銀ちゃんの恋』、第2回が『出島小宇宙戦争』で、第3回の今回が『龍の宮物語』です。

第1回も第2回も作品の奥深いところまで知ることができ、とても有意義な番組でしたが、今回は私が大好きな『龍の宮物語』が取り上げられたので、とくに楽しみにしていました。

マイスターの教え リターンズ#3 星組『龍の宮物語』「夏美よう/天華えま」

今回取り上げられた作品は2019年にバウホールで瀬央ゆりあ主演で上演された『龍の宮物語』。

そしてマイスターは夏美ようさんで、ゲストは『龍の宮物語』で山彦役を演じたぴーちゃん(天華えま)です。

2人はほぼはじめましてだそうですが、はっちさん(夏美よう)はぴーちゃんを“ぴーすけ”と呼んでいて、すでに打ち解けた様子です。
2人で『龍の宮物語』の映像を見ながら、役作りや裏話、はっちさんがこの作品を観て感じたことなどを語りました。

天華えまの山彦の役作り

ぴーちゃんが演じた山彦はせおっち(瀬央ゆりあ)が演じた清彦の書生仲間で親友の役です。
でも実は過去に清彦と同じように龍の宮に行ったことがある清彦の祖父でした。

そして二幕では震災で命を落とした後も亡霊となって清彦の帰りを待ち続けるという二重三重に含みのある役でした。

ということで役作りはかなり苦労したそうです。

それまでは山彦のようにお兄さん風を吹かせる役はしたことがなかったので、そこがまず難しかったそう。

そしてそれまであっけらかんと明るくまっすぐな役しか演ったことがなく、山彦のように悲しい過去を持ち、苦しい思いをする役は引き出しになかったと話していました。

でもちゃんと山彦という役を表現できていたよとはっちさん(夏美よう)に言ってもらえて喜んでいたぴーちゃんでした。

山彦は清彦のことだけを思って最後まで生きてきたというところを大事にしていたそうで、2回あるソロの曲でもその思いを込めて歌うことを意識していたと話していました。

指田珠子先生のこだわり

作・演出の指田珠子先生のバウホールデビュー作だったわけですが、それまで本公演の演出助手や新人公演の演出で星組を担当してくれた時とは別人のように空気感が違ったそうです。
やはり自らが生み出した作品への責任があるからそれは違って当然だと思いますが、ぴーちゃんはそこにびっくりしたんだそう。

そして、指田先生ならではのこだわりがたくさんあったそうです。

まずセットも、舞台へ来てこうなるんだ〜という感動があるものが多かったそう。
衣装についても、山彦は他の書生たちとは違う雰囲気で、「ずっと裸足でいてください」と言われたのも指田先生のこだわりだったとか。

百物語の場面はここが始まりだからしっかり見せたいと先生が言っていて、山彦が清彦の袖をずっと掴んでいるというのもそういったこだわりの一つだったそうです。

一幕から二幕へつながる伏線だったり、一度じゃ観きれないほどのたくさんの含みも指田先生のこだわりゆえの面白さなんですね〜

先生なりのビジョンが明確にあって、それから外れるとジグソーパズルがバラバラになっちゃうという表現がなかなか面白かったですが、その言葉で指田先生の人となりがなんとなく分かる気がします。

瀬央ゆりあの主演としての姿勢

ぴーちゃんはせおっち主演の作品に出演したのはこれがはじめてでしたね。
瀬央さんを頑張って支えようと思っていたけれど、助けられてばかりだったと思い返していました。

稽古場の雰囲気をいつも明るくしてくれるのがせおっちだそう。
はっちさんからそんなせおっちは普段から役を引きずるタイプかな?と訊かれて、「お稽古が終わったら瀬央さんでした」と答えたぴーちゃん。
それにはあまりに想像通りで笑っちゃいましたが、お稽古が終わった途端お絵かき大会をやったりする様があまりにせおっちらしくて(笑)

でも明るい作品ではないだけに、そうやってみんなを和ませようとしているのがさすが座長だなと感心しました。
ぴーちゃんも「見習うべき先輩」だと言っていたのが印象的でした。

夏美ようの鋭い視点

ところどころではっちさんの「マスターズチェック」というのが入るんですが、その中でさすがマスターだなと思ったのが、龍の宮での登場人物の目線の話。

視線や表情がこの世のものではないという含みを表しているという話には〜、なるほどね〜と感心しました。

そう言われてあらためて龍の宮の人たちの顔を見ると確かに普通の人間ではない感じの視線をしています。
同じ場面にいるせおっち演じる人間の清彦とは明らかに違う目の表情でした。

番組紹介で「繊細な感性と確かな見識、深い洞察力で独自の解析を導き出す」と紹介されていたはっちさんならではの見方だなと思いました。

もう一つ琵琶湖の龍神伝説が残る滋賀県出身のぴーちゃんだから、この作品に呼ばれたんだと思うというはっちさんの言葉も印象に残りました。

ぴーちゃんからのはっちさんのように色気のある男役になりたいという質問には、映画やドラマなどの色気のある俳優さんやいろんな人をを見るといいよというアドバイスもさすがです。

作品についてより深くわかるいい番組でした

上に書いた以外にも玉姫役のくらっち(有沙瞳)や龍神様役の天寿光希さんについてもぴーちゃんは話していて、当時のお稽古場の様子もわかるとても興味深い内容のトークでした。

それに山彦の心情だったり清彦の心情だったりをあらためて知ることができて有意義な番組でした。
またすぐに『龍の宮物語』を見返したくなりました。

今回はゲストがぴーちゃんだったので、ぴーちゃん目線、山彦目線での話が主でしたが、いろんな出演者にこの『龍の宮物語』を語ってほしいなと思います。

第1回、第2回、第3回ととても深い内容の番組でしたので、これからもこの番組を楽しみにしたいと思います。

  

読んで頂き、ありがとうございました。

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