星組東急シアター・オーブ公演『BIG FISH』を観劇してきました。
ライブ中継・ライブ配信もなく、円盤化もされず、スカイ・ステージでの全編放送もされない。
千秋楽の映像もカーテンコールの挨拶のみということで、舞台映像はタカラヅカニュースで放送された初日の約4分間のダイジェスト映像のみというめちゃくちゃレアな公演となってしまいました。
1回だけでも観ることができたのは本当にラッキーなことでした。
そして、想像していた通り素晴らしい作品でした。
星組東急シアター・オーブ公演『BIG FISH』観劇感想
元々ティム・バートン監督の映画が好きで、このリアルとファンタジーの入り混じったお話をどんな風にミュージカル化されているのか楽しみにしていました。
映画はずっと昔に観たきりだったのですが、先日NHKBSで放送されたので予習がてら久しぶりに観てから観劇に臨みました。
ジェニーが住む街の設定が違っているというのはありましたが、ストーリー展開は映画とほぼ同じでした。
ですが、映画よりもさらに家族愛により重きが置かれている印象を受けました。
一幕は胸にぐっとくる場面もありつつたくさん笑い、二幕は途中から涙が止まらなくなりました。
そして観終わった後は爽やかな心地のいい感動が溢れて、本当にいいミュージカルを観られて幸せだなという気持ちに。
とにかくエドワード役のこっちゃん(礼真琴)が素晴らしい。
そして他のキャストも全員が素晴らしかったです。
この作品を礼真琴率いる星組でやらせたいとなったことに納得しました。
それほどエドワード役はこっちゃんにぴったりでしたし、礼真琴にしかこの役はできないだろうなと思うほどでした。
礼真琴の素晴らしさを改めて実感
エドワード役はとにかくパワーが必要な役でした。
高校生から病に冒された老年期まで一人で演じ、それも老人から突然高校生になったり、あらゆる年代を行ったり来たりするのが本当にすごかったです。
老年期は背中を丸めて歩き方や声も変えているのですが、それがまったく不自然じゃないんです。
そして、見た目の年齢はいろいろ変わるのに、エドワードとしては一貫してるのがまたすごいなと感心しました。
舞台にはほぼ出ずっぱりで、アラバマストンプのような激しいダンスを踊ったりする場面もありソロの曲を歌い上げる場面もあり実にパワフル、礼真琴の魅力を目一杯堪能できる役でした。
BIG FISH、つまりホラ話を常に語り周りを楽しませ、そして家族を深く愛し仲間を思う、お茶目で誰からも愛されるエドワードというキャラクターがこっちゃんに重なって見えました。
この役はこっちゃんだからこそできた役だな〜と思います。
最後の「How it Ebds(終わり方)」の熱唱には心が震えて、歌の素晴らしさに涙が出るほどでした。
サンドラ役を小桜ほのかと詩ちづる
エドワードを若い時から老年期までこっちゃんが一人で演じたのに対して、妻のサンドラ役は若かりし頃を詩ちづる、年老いてからを小桜ほのかと2人で分けて演じていました。
映画版でも同じ様に2人の女優さんが演じていたんですが、外部版のミュージカルでは霧矢大夢さんが一人で演じたんですよね。
なので、観るまでは一人じゃ駄目なのかなと思っていたんです。
でも観て納得でした。
年を取ってからのサンドラの慈愛に満ちた雰囲気はほのかちゃん(小桜ほのか)だからこそ出せたでしょう。
「I Don’t Need A Roof(屋根はいらない)」の深い歌声は聴いていて涙が出るほどすばらしかったです。
そして若い頃のはつらつとしたサンドラはやはりうたち(詩ちづる)にぴったりでした。
綺麗な澄んだ歌声のうたちとこっちゃんとのデュエットは耳福でした。
このサンドラ役をトップ娘役のなこちゃん(舞空瞳)ではだめだったのかと思われそうですが、年老いたサンドラはなこちゃんのキャラクターとはかけ離れていますし、若かりしサンドラのみをトップ娘役にさせる訳にはいかなかったかもしれません。
ほのかちゃんとうたちにサンドラを演じさせたのは正解だったなと思いました。
極美慎がウィル役を好演
エドワードの息子のウィルを慎くん(極美慎)が実に好演していました。
この役を慎くんに当てたのも正解でした。
歌うま揃いのキャストの中ではどうしても慎くんの歌はもうちょい頑張れ〜って思っちゃうんですが、それでもソロの曲「Stranger(知らない人)」はとてもよかったです。
昔に比べたら歌唱力も格段に上がってきたなと感心しました。
格段にスタイルの良い慎くんのウィルは出てくるだけでは〜♡と見惚れてしまうんですが、それだけでなくお芝居もいいです。
現実主義者で父親のホラ話に辟易とし、エドワードの過去を疑って探った結果真実の姿にたどり着くという難しい役どころを素敵に演じていました。
終盤でエドワードが「How it Ebds(終わり方)」を歌う場面、エドワードを見つめながら涙を流している慎くんウィルの顔を見たら、それだけでまたこちらも涙が止まらなくなっちゃいました。
最後の自分の息子と一緒に水切りをする場面も温かい気持ちになりました。
他のキャストも魅力的
この作品には他にも実に魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。
ドクター・ベネット役のひーろー(ひろ香祐)は出番は少ないですが、こっちゃんとの同期ならではの温かいお芝居にほっこりしました。
サーカス団長キャロウェイ役のちゃりおくん(碧海さりお)はさすがの安定感、コミカルな役がぴったり。
人魚役のきさちん(希沙薫)、本来男役ですがとても美しいですし、上半身の演技だけで人魚を表現するのがすごいなと思いました。
この作品が復帰作のさきっぽ(蒼舞咲歩)のドン・プライス、エドワードを目の敵にする嫌な奴の役を弟のザッキーの夕陽真輝くんと一緒に楽しそうに演じ、芸達者ぶりを発揮していました。
他に魔女役の都優奈ちゃんは迫力ある歌で素晴らしい歌唱力を魅せてくれていましたし、巨人のカール役の大希颯くんは素朴なキャラが素敵で、スティルツ(高足)を使っての演技も頑張っていました。
ウィルの妻ジョセフィーン役は星咲希ちゃん、外部版で夢咲ねねさんが演じた役に大抜擢でした。
これまであまり大きな役が付いたことのない星咲希ちゃんですが、この抜擢に見事に応えていました。
そして中でも一番上手いな〜と感心したのがヤングウィルを演じた茉莉那ふみちゃんです。
108期の首席で元々お芝居の上手さには定評があるのですが、男の子役も本当に上手でした。
むしろ男の子にしか見えません。
お父さんの話に目を輝かせる様子や、段々とその話の胡散臭さに気付いてうんざりする様子などヤングウィルから目が離せませんでした。
また、役のついていない星組生達もサーカスでのジャグリングやダンスなどたくさんの場面で頑張っていて、この作品に対する愛情も感じられて素晴らしいなと感じました。
礼真琴のカーテンコールのご挨拶
別箱公演の楽しみの一つは最後にご挨拶があることです。
なんとこの回は月組のれいこちゃん(月城かなと)、ちなつちゃん(鳳月杏)と専科のせおっち(瀬央ゆりあ)が並んで観劇していました。
他にも月組生がたくさん客席にいたようです。
そのせいかこっちゃんのテンションがかなり高くて、「2階席の皆さん!」「3階席の皆さん!」「1階席の皆さん!」とライブみたいに呼びかけていました。
そして月組公演名にちなんで
「GrandeサイズのEternal Voiceで締めたいと思います」
と言ってからとってもいい声で
「本日は本当にありがとうございました!」
とご挨拶していました。
タカラジェンヌと観劇被りするとこういうおいしいことがあるんですね〜
ラッキーでした♪
この『BIG FISH』、こっちゃん(礼真琴)はじめすべてのキャストが魅力的、楽曲も素晴らしく、映像を使った演出やセット転換など稲葉太地先生の演出も実によくできていました。
ブロードウェイミュージカルは海外ミュージカルの中でも著作権がとくに厳しいようで、今回の『BIG FISH』のようにすべての映像化ができないものもあるんですね。
それでもこの作品を礼真琴にやらせたいと思うほどのものがあったというのが観劇して改めてわかりました。
そういう作品を観ることができたことに感謝です。
それにしてもこれが映像に残らないなんて本当に勿体ない!
読んで頂き、ありがとうございました。
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