七海ひろきさん「宝塚は時代に合わせて変わっても根幹の伝統はなくならない」

OG

昨晩遅くに七海ひろきさんがYouTube動画を公開されて、Xやインスタ、LINEなどのSNSにもリンクを貼られました。

これまで今の宝塚をめぐる状況についてOGの方たちが多少なりとも発信しているのを目にしましたが、ここまでしっかりと自分の気持ちを発信した方はたくさんはいなかったように思います。(私が目にしていないだけかもしれませんが)
とても勇気のいることだったと思います。

七海ひろきさんがYouTubeで今の気持ちを発信

七海さんはまず亡くなられた生徒さんとご遺族へのお悔やみの言葉の後、今回のことは絶対に起きてはいけない出来事だったと言った上で、自分の思いを語り始めました。

七海さんは11月の中頃にXで「自分の思いをきちんとお話ししたいので、もう少し待っていてください」というPOSTをしていたんですが、それから自分の考えをまとめて今回の発信に至ったんですね。

自分が発信することで誰かを傷つけたり誤解が生じたりしないかと心配だったけど、自分の人生の半分、青春のすべてを捧げてきた故郷である宝塚なので、自己満足ではあるけれど思うことを話したいと思ったということです。

今回の七海さんの動画の中で印象に残ったことをまとめてみました。

浦島太郎だった

「タカラジェンヌは夢をお届けするお仕事」ということで、夢が覚めてしまわないように分厚いベールに包まれている
そのベールが分厚すぎるのでタイムスリップしているくらい時代の変化についていくのが難しい場所だったという話はすごく納得でした。

10代の頃から閉じた世界にいるとその世界の常識が普通になってしまうと。

芸事の世界は一般企業の労働とは違って並々ならぬ努力とストイックさが必要で、安定と平穏とは程遠い職業だと。

宝塚は得手不得手がバラバラな人たちが集まっているので、約70人が群舞やコーラスを揃えたり、ステージ上で事故無く移動したりするには厳しい規律も必要だと教わってきたそうです。

タカラジェンヌは一日中365日芸事と向き合って過ごしていることで一般の常識から外れているかもしれないけれど、それがすべて悪いかというとそうとは言えないと。

大人数で一つの舞台を作っていってるので、誰かがみんなのレベルに達していないと作品が成り立たないし、一歩間違えば事故になりかねません。
でもだからといって睡眠時間を極限を超えて削ったり、できること以上のことを負わされる人がいないと成り立たないというのは間違っていると思います。

七海さんが言うには中にいるとそれが当たり前になってしまって、「ついていけないのは自分が悪いんだ」と思ってしまっていたそうです。

例えるなら宝塚は竜宮城で、外の世界から孤立していて外からの情報が入らず、浦島太郎のようになっていたと、退団して気がついたそうです。

世代間の価値観の差でいびつな状態に

外の世界に出てみてはじめて世の中の変わりようを知って驚いたそうです。
いろいろな価値観や考え方があって、個人を尊重する時代になっているって。

宝塚の若い世代の人たちもそういう価値観を持っている人が多くなって、長年在籍している人たちとは全く別次元の価値観だと思うと。

自分が現役の頃は辛い苦しいことに耐えてこそ素晴らしい舞台ができるんだと思っていて、それが古い変わるべきことだと発想できる環境ではなかった。

今の若い人たちはそれが古い(変わるべきこと)と気づいていて、そういう人たちの割合が多くなっていびつな状態になっているんじゃないかと思うそうです。

「変わらなければならないことに気づくことができていない人たち」と「もう変わりたい(変わるべき)と思う人」が混在する状態になっているのが問題なんじゃないかなと思います。

七海さんはパワハラについては言及しませんでしたが、そういう中で正しくパワハラを認識できなかったのではないかと私は思います。

 

上級生は宝塚のそういう価値観が当たり前だったから、時代に合わせて変えることが出来なかった。
これは誰かが気づいて変えていかなければならなかったんです。

それができるはずの阪急電鉄の人たちやホールディングスの人たちがやらなかったのだと思います。

 

だって、タカラジェンヌと同じような働き方を阪急電鉄の人たちがやっているとは思えません。
きっと電鉄の人たちも「宝塚は世の中と違ってて当然」と考えてしまっていたのではないでしょうか。

七海さんは外の世界を経験していろいろなことに気づけたそうです。

そして、宝塚は「時代に合わせて変わっても根幹の伝統はなくならない」「変化に耐えられるタフな劇団だと信じている」と語っていました。

宝塚がこの先も続いていくためにも、生徒さんたちの未来のためにも、劇団が誠実に向き合って改革に取り組んでくれることを願っていると話していました。

宝塚ファンへのお願い

最後に1人の元生徒としてお願いがあるということでした。

今回のことで宝塚ファン以外の人から厳しい意見が寄せられているのを目にするし、それは出来事の深刻さを思うと自然なことだと思うと。

でも宝塚を愛している皆さんは、今も懸命に活動している現役の生徒さんたちに思いを寄せてほしい、応援してほしいという言葉は胸に刺さりました。

「状況は日々変わり、すべての人が納得することは難しいけれど、どうか宝塚を諦めないでください、宝塚の未来を見守っていただきたいです」

という言葉に胸が熱くなりました。

中の世界と外の世界の両方を知っているからこそ感じる思いだったと思います。
七海さんの発言はとても誠実でいろんな方面への配慮を感じさせるものでした。

今回の発信に批判的な意見が出るかもしれないけれど、それを否定しないでほしい、自分の意見を過度に肯定もしないでほしいという言葉はさすが七海さんだと思いました。

もちろん七海さんの考えに賛同できない人もいるだろうけど、私はどの言葉も一々腑に落ちました。

 

本日、雪組の12月12日からの公演実施について発表がありました。

雪組生もやりたい気持ちがあるのでしょう、きっと(そう思いたいです)
どうか千秋楽までの残り3回の公演が無理のないように行われますように。

  

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