スカイ・ステージの番組『THE STORY~男役10年、その先へ~』は、10年という節目を経て充実期を迎えている男役にスポットを当て、舞台人としての魅力を掘り下げる番組です。
これまで夢奈瑠音、紫藤りゅう、諏訪さき、天華えま、蓮つかさ、綺城ひか理、英かおとが登場しました。
路線スターではあるけれど番手の付いていない、どちらかというと別格路線スターという感じの男役を取り上げる番組なんだろうなと思っていたんですが、今回登場したのは花組の現在3番手のほのかちゃん(聖乃あすか)でした。
ほのかちゃんは5月に各組の2番手・3番手男役とトップ娘役がホストを務める『CAST』にも出演するそうなので、この番組に出たのはちょっと意外な気がしました。
ですが、研11を迎えたほのかちゃんのこれまでとこれからがよくわかるとても面白い番組でした。
THE STORY~男役10年、その先へ~「聖乃あすか」
ほのかちゃん(聖乃あすか)もこれまでの出演者と同じく、お稽古場への入りのところから番組が始まりました。
その後、現在公演中の『アルカンシェル』の舞台稽古風景や、自主稽古風景、番組収録風景、ファッションチェック、愛用品の紹介コーナーなど素顔が垣間見えるコーナーもありました。
そして、ほのかちゃん本人へのインタビューで男役としてのこれまでの歩みや、現在の心境、これから目指す男役像などについて語られました。
聖乃あすかへのインタビュー
挑戦の役
『アルカンシェル』でほのかちゃんが演じているイヴ・ゴーシェという役は、現代のパリに生きている青年で、舞台上でのお話を俯瞰的に見て語るストーリーテラーの役です。
この役を演じるにあたって、ドイツ占領時代のパリの歴史的背景を知るために実際にパリのレジスタンス解放博物館を訪れたりしたそうです。
ストーリーを客観的に見て客席にきちんと説明するという技術的な難しさ、五感をフルに使って表現しないといけない難しさなど初めての経験で、ものすごく挑戦の役、勉強になる役だと話していました。
これまで花組を支えてきた人たちの退団公演で、その物語を語り継ぐ役を自分がやる意味をすごく感じたとも言っていました。
れいまどコンビが卒業した後の花組を引っ張って行く存在に自分もならないといった自覚を改めて実感した公演となっているんだろうなと感じました。
それと、この作品でのほのかちゃん自身のテーマが「力まないこと」だそうで、5年前にはこの役はできなかったという言葉が印象に残りました。
力みを抜くことで表現できる幅が広がったりやりたいことが盛り込める、自然と感情も湧き上がるということに行き着いたのは、やはり10年目を超えた今だからこそなんですね。
ターニングポイントとなった作品
新人公演で3度の主演を演じたほのかちゃんですが、その度に周りの目も厳しくなっていって、自分でも絶対に失敗できないといったプレッシャーがかかり過ぎてしまったそう。
そんな中ターニングポイントになった作品・役を2つ挙げていました。
『冬霞の巴里』
一つは2022年の『冬霞の巴里』のヴァランタン役。
この役はこれまでほのかちゃんが演じたことがないダークな役でしたね。
ほのかちゃんが言うには、初めて舞台稽古になるまで役がつかめず、焦ってもがいた役だったそうです。
その時共演者から「舞台はみんなで作るものだから、申し訳ないなんて思わなくていいんだよ」と言ってもらって、吹っ切れたんだとか。
それまでの優等生でいなければいけないといったしがらみみたいなものを全部取っぱらって、ありのままの自分をさらけ出していいんだと気付いたんだそう。
そうやって役をつかめたほのかちゃんは、千秋楽の後には「ヴァランタンとして死ねたな」と思えたほどだったそうです。
あのそれまでのほのかちゃんのイメージを覆すビジュアルと演技の裏にはそんな葛藤があったんですね〜
『舞姫』
もう一つは2023年に主演した『舞姫』。
正統派男役のこの役を通して芝居の面白さや人の奥深さを改めて学んだそうです。
またこの公演の終盤に喉の調子を崩してしまい、自分のコンディションを保ち続ける難しさにも直面したとか。
でも声が出なくなった時にも共演者のみんながいつも通り役を全うしてくれて、それで自分もいつも通り役に集中できたのがありがたかったと話していました。
舞台裏では加湿器を持ってきてくれたりいろいろと世話を焼いてくれたんだそうですが。
その時の葛藤が役の豊太郎としての葛藤と重なって、役からいろんなことを学べた大事な作品となったそうです。
当時のほのかちゃんの喉の調子の悪さは漏れ伝わって来ていましたが、やはり本人的には葛藤があって、たくさん思うところがあったんだなと、今その話を聞いて思います。
喉の調子は悪かったけれど、演技的にはかえって素晴らしいものがあったというのもSNSで見ていましたから。
聖乃あすかのマイルール
最後に「聖乃あすかのマイルール」として「舞台上で嘘をつかない」ということを挙げていました。
お芝居をしていること自体がまず嘘をついていることだけれど、そこに流れる役としての感情には嘘をつかないということが大事だと。
もう一つは「男役としての品格を品性を失わない」ということ。
そこだけはタカラジェンヌである以上大事にしたいと思っているそうです。
そして、男役10年、その先へ向かって目指すことは、
「根底にあるのは宝塚と、男役として表現することが好きだから、どんな役にも染まれる舞台人になりたい」
「花組の男役としては、男役のかっこよさを極めて相手役が美しく見えるように、お互いが魅力的に見えるように舞台に立つことを大事にしていきたい」
と話していました。
男役10年を超えて11年目になったほのかちゃんが、これからも花組を背負って立つ存在になっていくのを応援したいと思います。
ほのかちゃんのこれからがますます楽しみになった番組でした。
読んで頂き、ありがとうございました。
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