まだ16世紀あたりのオスマン帝国の宮殿をうろうろしてる感があります。
ずんちゃん(桜木みなと)の髪の乱れ、視線、声、あらゆる要素から逃れきれずにいます。
そらくん(和希そら)の演じたイブラヒムと幸せな時間、その後、予想通りに訪れる不幸なすれ違い、そしてイブラヒムの最期の場面にまだ心が痛んでいます。何とかならなかったのでしょうか、はぁ…
『壮麗帝』ライブ配信の感想の続きです。今回はフィナーレ以降と、各キャストについて思うことを書いていきます。
フィナーレ
フィナーレはそらくん(和希そら)を中心に男役の黒燕尾群舞から始まります。
ここでは本編では女役だったりんきら(凛城きら)とあきも(秋音光)も男役に戻ってキザってました。
そらくんはほんとダンス上手ですね〜
キレッキレで見ていてハッピーになります。
そして、セットの高いところからずんちゃん(桜木みなと)登場!
ラインストーンたっぷりの派手派手黒燕尾で、キャ〜〜、カッコいい!
他の男役がゴールドのベストなのに対してずんちゃんはシルバーのベスト。
主演なのにシルバーなの?と思ったけど、ここはシルバーの方が素敵かな。
今度はずんちゃんを中心に男役の群舞の後、ずんそら2人が残って男役同士の“デュエットダンス”!
ずんそら、いいですね〜
お話内では辛い結末になっちゃいましたが、フィナーレでは笑顔で踊る2人が本当に仲良さそうで、かえって涙を誘います。
フィナーレ最後はずんちゃんとららちゃん(遥羽らら)のデュエットダンス。
そらくんが舞台袖へ引っ込んでから、上手奥の高いところにららちゃんが登場で、そちらを振り返るずんちゃん。その時の優しい笑顔が素敵♡
タカラヅカニュースで話していましたが、天国で再会したというイメージです。
ららちゃんのお衣装も光沢のあるシルバーで、ずんちゃんのベストと合わせているようでした。
終始笑顔で幸せそうに踊る2人、最後のリフトもすごく長くて美しくて…
最高のデュエットダンスでした♡
カーテンコール
パレードは皆んな役の格好で出てくるので、ここでやっとこの子がこの役だったのか〜と分かったりしましたが、皆んな笑顔で幸せそうで、それを見てるこっちも幸せな気持ちになります。
最後に登場のずんちゃん、重厚なお衣装でお髭も付けてさっきまでのスレイマン皇帝に戻っています。
でもカンパニーの長の花音舞さんに「鼻筋の通った美男子」とお芝居の中の台詞を引用して紹介された時の照れた顔が素のずんちゃんでした〜(笑)
ご挨拶はまずは公演を開催できた事への感謝、お客様への感謝、そしてライブ配信で多くの人とこの奇跡を共有できた事への感謝と、座組のメンバーへの愛をしっかりした言葉で語ってくれました。
涙を堪えているのか瞬きがすごく多かったです。
で、その後ろで涙を流しているそらくんとららちゃんがじっとずんちゃんを見つめていました。
2回目のカーテンコールには「この奇跡を皆様と共有出来たことを本当に嬉しく思っております」、3回目には「この奇跡を決して忘れません」と“奇跡”という言葉を何度も口にしていました。
“奇跡”のように感じられたんですね。
それは私達ファンにとってもそうでした。いろんな奇跡を感じた公演、ライブ配信でした。
カーテンコールの最後にずんちゃんが「(キャスト、客席)皆んなで「壮麗帝〜!」ってやりたいんですが、このご時世なので声を出せないので私が一人で「壮麗帝〜!」って言いますので、皆さんは拳を挙げて下さい」って提案してやることに。
もちろん、テレビ画面のこっちでも一緒にやりましたよ〜
「そう、れい、て〜い!」をやり終わって列に戻ったずんちゃん、何故か隣のそらくんの肩をペシッと叩きました。
そらくんが口元を押さえていたから、もしかしたら「可愛い」とかなんとか言ったんでしょうか〜?
その様子がめちゃくちゃ微笑ましいったら…
現実世界のずんそらの関係性を垣間見ました〜
本当に幸福感に満ちた素敵なカーテンコールでした〜
主要キャストの感想
桜木みなと
まず、スレイマン役のずんちゃん。
下級生の頃から注目していた男役さんですが、『オーシャンズ11』のベネディクト役からめきめきとお芝居の力が上がってきたように思います。
ふだんは太陽の様な笑顔で可愛い雰囲気のずんちゃんですが、舞台上では男役の色気たっぷり。
重厚な衣装や髭も似合っていて、大国の皇帝をしっかり演じきれていたと思います。
なんせ眼力がすごい!
あの大きな目での流し目も色気がだだ漏れていました〜(笑)
一番印象に残ったのは、一幕の最後にイブラヒムが裏切ったのではないかと疑念が生まれたのを受けての二幕最初のお芝居、イブラヒムに対する疑念と信頼の間で葛藤する複雑な表情!
あの表情を見てドッキ〜ンとなりました。
歌唱はもう少し安定感が欲しいなと思いましたが、清涼感のある歌声は聴きやすいです。
時々大空祐飛さんに似ているな〜と思って見ていました。舞台化粧をした顔や表情、台詞の声の出し方が。
普段のお化粧の時は似てないと思うのですが。
今回コロナの影響で公演が延期になってしまい、結局東上出来ずに短い期間での上演になってしまいました。
主演のずんちゃんにとって辛い次期が続いたと思いますが、無事に千秋楽まで公演することができて、ホッとしたでしょうね〜
大変な状況の中、立派に座長を勤め上げて、更に成長されるでしょう。
これからのずんちゃんに大いに期待します。
和希そら
そらくんといえば『オーシャンズ11』のライナス役のように弟っぽい役がぴったりな印象でしたが、今回のイブラヒムは若い時こそ弟感ありましたが、歳を重ねるにつれて色気が出て男っぽく、苦悩する表情もすごく良かったです。
歌声も伸びがあって安定感があり、ソロナンバーもハティージェとのデュエットも聴き応えがありました。
そして、なんといっても抜群の身体能力で殺陣のキレが他のキャストと違いましたよ〜
ずんちゃんとのコンビ感もよかった!
遥羽らら
ヒロイン、ヒュッレム役のららちゃん。
98期生で、新人公演ヒロイン2回、別箱公演のヒロインも今回で2回目です。
歌もダンスも上手くて実力十分です。
プロローグのベリーダンスも素敵でした。
ただ、ヒュッレムが若い頃からベテラン感が漂っていて、もう少し若々しさが欲しかったかな〜と思っちゃいました。
歳を重ねてからのお芝居は声のトーンも話すテンポも変えていて、さすがだなという感じでした。
鷹翔千空
こってぃ(鷹翔千空)は101期生で、新人公演主演も2回経験している期待の若手男役ですね。
劇団の公式の新型コロナウイルス感染防止対策の動画にも天彩峰里ちゃんと一緒に宙組を代表して出演していて、劇団から期待されているのが分かります。
今までどちらかというとおっとりした感じやノーブルな感じの役が多かったように思いますが、今回はザ・悪役です。
イブラヒムに嫉妬心を募らせて、結局は波乱を起こし敵国へ寝返って、挙げ句の果に裏切られて殺されてしまう哀れな役でしたが、途中歌ったソロの曲がロック調でカッコよかったです。
今回の役は新境地ではないでしょうか。
こういう役は勉強になると思うので、またこってぃの悪役、見たいです。
天彩峰里
スレイマンの妹の皇女ハティージェ役のみねりちゃん。
100期生で新人公演やその他の公演でのヒロイン経験もあり、路線娘役さんです。
登場時のキャピキャピしたお姫様感から、年月を経ての大人の女性としてのお芝居が実力を感じさせました。
エトワールも務める程なので、お歌も上手ですね〜
ソロやイブラヒムとのデュエットもありましたが、短かったのが少し残念。
秋音光
スレイマンの第一夫人マヒデヴラン役のあきもは今回女役で、とっても綺麗でした。
ヒュッレムに嫉妬する様や自分の息子を次期皇帝へと野心を抱く様が、嫌な女感が表れていてすごく良かったです。
いつも割とおっとりした雰囲気なのに、感情をむき出しにして目を見開く表情がとても怖かったです。
凛城きら
スレイマンの母ハフサ役で、今回女役です。
『神々の土地』でも皇后役をやっていたりんきら、女役化粧もお手の物という感じで美しかったです。
皇室の伝統や慣習を厳格に守り、スレイマンと衝突することも多いハフサですが、ソロで歌った母親としての心情を歌う曲が涙を誘いました。
あの場面は東宝エリザベートのゾフィが亡くなる直前に息子フランツを想って歌う場面を思い起こさせました。
あの曲大好きなんです。宝塚版に無いのがすごく残念。
あ、話が逸れちゃいました〜
でも、ハフサのあのソロの場面は作・演出の樫畑 亜依子先生がゾフィの曲を意識して作ったんじゃないかと思いました。
その後の場面で、突然亡くなっていたのにはびっくりしましたが…
えっ、具合が悪いとか何も言ってなかったじゃんって(笑)
悠真倫
専科の悠真倫さん演じるマトラークチュは皇帝の伝記を書いている作家で、お芝居の語り部も兼ねています。
ひげ部のまりんさん(悠真倫)、さすがにお髭がバッチリです。
今回イスラムものなので、男役はほとんどが髭を付けていますが、まりんさんが一番自然でしたね〜
ずんちゃんはアップになると下顎の髭が浮いているのがちょっと気になってしまったりしましたが、まりんさんに見てもらえばよかったのにって思っちゃいました。
汗でどうしても浮いてしまうのかもしれませんが…
話がまた脱線しましたw
要所要所でマトラークチュの語りが入りますが、やはりまりんさんが出てくると場面が締まります。
さすが専科さん、お芝居の上手さは流石でした。
『壮麗帝』感想まとめ
作品としては“ザ・宝塚”という感じの作品でした。
歴史もので華やかな衣装にナンバーも多く、主要キャストにそれぞれソロナンバーもあります。
男同士の友情に恋愛、嫉妬や陰謀も渦巻いて観ていて飽きることがありませんでした。
あっという間の3時間でした。(途中の25分の休憩時間が劇場と同時に進んでいくのが生配信ならではでしたw)
作・演出の樫畑亜依子先生は2016年デビューだそうで、過去の作品では礼真琴主演の『鈴蘭 (ル・ミュゲ)』をスカイステージで観ましたが、なかなか面白い作品でした。
今回の『壮麗帝』の方が格段に出来が良いとは思いますが。
そして、私は今回ライブ配信という形で観た訳ですが、本来ならリアルタイムで観ることが叶わなかった作品を観ることが出来て嬉しかったです。
ライブ配信という形はこのコロナ禍という厳しい状況から生まれた副産物だと思います。
いずれ、宝塚でも取り入れられる方法だったとは思いますが、このご時世でその時期が奇しくも早まったのではないでしょうか。
新型コロナウイルスのパンデミックという不幸な状況は、本当に起こってほしくなかった事態ではあるけれど、その副産物としてライブ配信を体験できた訳で複雑な心境です。
しかし、関係者に感染者が出てしまい公演を中断セざるを得なかった組がある一方で、こうやって無事に上演できそれを自分も目撃できたのは正に奇跡でした。
ずんちゃんがご挨拶で言っていたように、その奇跡を共有できた事は幸せなことでした。
読んで頂き、ありがとうございました。
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