桜木みなとと瑠風輝のバディ感がハンパない『カルト・ワイン』

今日6月26日に宙組東京建物 Brillia HALL公演『カルト・ワイン』が千秋楽を迎えました。
6月17日の初日から毎日面白いという評判がSNSに並んでいて、『カルト・ワイン』がTwitterのトレンドにもなっていたほどです。
私も観劇してきました!

桜木みなと主演宙組『カルト・ワイン』は想像を超えた傑作

21世紀初頭のニューヨークを舞台に、実際に起こった高級ワイン偽造詐欺事件を題材に栗田優香先生が『夢千鳥』に続く第2作として書かれた『カルト・ワイン』。

「熟成中だったそのボトルを抜栓させてくれたのが、桜木みなと、その人です」

と公演パンフレットにも書かれていた通り、ずんちゃん(桜木みなと)ありきで生まれた作品だったようです。

パンフレットではさらに、
「なんと言ってもその笑顔」
「笑顔だけで千の感情を表現できるのでは?」

と書かれていました。

栗田先生曰くずんちゃんの笑顔の魅力は詐欺師に必要な才能だそうです。
これがなかったらシエロという役は生まれなかったはずです。

たしかにずんちゃんの魅力爆発の笑顔が印象的な作品でした。

そして、そこにもえこ(瑠風輝)演じるバディのフリオ、その二人に絡むあーちゃん(留依蒔世)演じるチャボという存在。
登場人物のそれぞれが魅力的でずんちゃん、もえこ、あーちゃんにぴったりハマっているところが気持ちがいいです。

結末から過去に遡る構成も違和感がなく、ストーリーがテンポよく進みます。
そして評判のラストの意外なオチのキレのよさも気分爽快です。

栗田先生の本は本当によく練られていて、シエロという青年とずんちゃんの魅力が一体となって爆発しています。

キャラクターに出演者がピッタリはまっているからこその爽快感だなと思わされました。

こういうところは、座付き演出家が書く宝塚の作品の妙です。

とにかく、ずんちゃんのシエロ、もえこのフリオ、あーちゃんのチャボ、それぞれが魅力的なだけでなく、互いの関係性も愛おしいです。

キャストごとの感想

シエロ・アスール:桜木みなと

ずんちゃん(桜木みなと)演じるシエロは祖国ホンジュラスでは貧しさのためにホンジュラスのギャングであるマラスに入らざるを得なかったけれど、本当は心根が優しく情に熱い男です。

貧しく危険なホンジュラスからフリオ(瑠風輝)の家族を守るため一緒にアメリカに逃げます。
しかし、アメリカでも貧しさの中で夢を持つことすらできずにいました。
その青年が元マラスの実業家チャボ(留依蒔世)と出会います。
そして、フリオの妹の手術費用のために天才的な味覚を活かしチャボの下でワインの偽造詐欺に手を染めることを選びます。

その後、チャボの下でより大きな儲けを得るために若き(偽)ワインコレクターとして育成され、一世を風靡する存在になるのですが…

シエロという人物の魅力はその人生の振れ幅の大きさと裏腹に芯が変わらないことです。
その笑顔の本質はいつも変わらず一貫しています。

フリオとともに貧しさの中にあった時も、チャボと手を組むと決めフリオと袂を分かつ時も、有名なワインコレクターとしてフリオとの再会の場面、そして詐欺がバレてしまった時も一貫してシエロはシエロでした。

このシエロの魅力を最大限に引き出すのがずんちゃん(桜木みなと)であり、ずんちゃんの魅力を最大限に表現するのがシエロという役でした。

シエロとして生きている時の柄シャツが似合うチンピラ感と、カミロとして高級スーツを着こなしている姿のどちらもハマっているのがまたずんちゃんの魅力です。
そのギャップがまさに詐欺師でした!

フリオと離れていた間もシエロにとってはフリオは変わらず最も大切な存在であり、だからこそ最後の場面は”あれ”でなくてはならなかったと思います。

シエロ(桜木みなと)とフリオ(瑠風輝)のバディ感がこの作品の根幹ですね。

あと余談ですが、今回は恋愛要素が少なかったので、ミラ(五峰亜季)とのベッドシーンはずんちゃんの大人の男の色気が感じられる数少ない場面でした。
あそこで客席のオペラグラスが一斉に上がっていました(笑)

フリオ・マラディエガ:瑠風輝

親友のシエロからどんなに「お前もマラスに入れ」と言われても、母親が殺される原因となったマラスには絶対はいらないと心に決めているフリオ(瑠風輝)。

父親と同じ料理人になるのが夢で、心臓病を患う妹を大切にする実直なフリオはもえこ(瑠風輝)にピッタリです。

シエロが悪の道に染まって行ってしまうのをなんとしても止めたいと思っているけれど、結局止めきれずに袂を分かつことになってしまいます。
そうなってしまう一幕最後の場面は、もえことしては苦しいと突撃レポートで話していました。

シエロはずっとフリオとその家族のことを思っていて、フリオもまたずっとシエロのことを心配している。
この作品はフリオがシエロの相手役でした。

そして、シエロとフリオの関係性がずんちゃんともえこの関係性も思わせて、本当に素敵だな〜と思いました。

フリオももえこでよかったな〜と思って観ていました。

チャポ・エルナンデス:留依蒔世

もう一人シエロと密接に絡むのがあーちゃん(留依蒔世)演じる元マラスのメンバーであり、今は実業家として成功しているチャボ。

実は裏では悪どいこともやっていて、シエロを詐欺師の道へと導いていく役どころです。

芸達者なあーちゃんが実に魅力的にこのチャボを演じていました。

手下とは違って寛大なところもあり、シエロに「夢を見ろ、俺がチャンスというギフトをやる」と導くチャボ。

シエロに高級スーツを買ってやり、上流階級の人間としての身のこなし方も教え込みます

ずんちゃんより下級生とは思えない見事な大物っぷりでした。

このチャボもあーちゃんにぴったりでした。

このチャボのせいでシエロとフリオは別の道を歩くことになります。
ある意味シエロとフリオとチャボが三角関係です。

チャボと手を切らせたいフリオ、しかしシエロはチャボと別れない。
そんなところも三角関係だなと思いました。

アマンダ・フェンテス:春乃さくら

ずんちゃんともえこ以外にスチール写真に入っていたのがアマンダ・フェンテス役のさくらちゃん(春乃さくら)でした。

NOW ON STAGEにも出演しましたし、さくらちゃん演じるアマンダが一応この作品のヒロインポジションということなんでしょう。

シエロ(桜木みなと)に恋心を抱いているもののシエロが黙っていなくなり、フリオ(瑠風輝)と婚約をしていました。
しかし、再登場したシエロに惹かれフリオと別れることになってしまうアマンダ。

突撃レポートではこの3人の関係が見事な三角関係だと言ってました。
ただ、物語としてはチャボとの三角関係の方が重いです。

この作品は男同士の友情がメインのテーマでした。

それだけにさくらちゃんの出番があまり多くなくてちょっと可哀想でした。
それでも『NEVER SAY GOODBYE』の新人公演ヒロインに続いてのインパクトは与えたと思います。

オークショニア:風色日向

男役では桜木みなと、瑠風輝、留依蒔世に次ぐ位置のひなこ(風色日向)のオークショニアという役。

全体の出番は少ないのですが、一幕と二幕の最初に登場して、二幕最初には客席にアドリブで話しかける大役も担っています。

各組一人ずついる万博アンバサダーの一人のひなこの役としてどうなのかなと観劇前は思っていましたが、なかなかおいしい役でした。
容姿が華やかなので、出てくるとぱっと目を引きます。

オークショニア役以外にもコロスの一人やアンサンブル的にいろんな場面に出ていましたが、あ、ひなこだ!とすぐに目に付きました(笑)

先日の『FLY WITH ME』で一期下の亜音有星くんが目立つポジションを与えられていて、追い抜かれるんじゃないかとちょっと心配になっていましたが、この『カルト・ワイン』での活躍を見るて少し安心しました。

次は大阪シアター・ドラマシティへ

今日6月26日で東京建物 Brillia HALL公演が千秋楽を迎え、7月2日からシアター・ドラマシティ公演が始まります。
これだけ評判がいいので、大阪のファンの皆さんも心待ちにされていることでしょう。
できれば私ももう一度観たいのですが…
もう一度観ると一度では分からなかったポイントも見えてくるように思います。

ライブ配信は7月7日の千秋楽

この公演のライブ配信は千秋楽の7月7日(木)15:30公演で実施されます。

平日なのがちょっと残念ですが、千秋楽の回がライブ配信されるのは嬉しいです。

そういえば、毎日のカーテンコールでのずんちゃんの様子がTwitterでレポートされていて、それを見るのも楽しみになっています。

私が観劇した回は、「暑い暑い中ご来場くださりありがとうございました。私達も頑張るのでお元気でいてください」という感じのご挨拶でした。

袖に入る直前には指で大きくハートの形を描いてそれをカッキーンとバットで客席に打ち込む仕草をしてくれました。
キラッキラのずんちゃんの笑顔がまぶしかったです。
大千秋楽にはどんなことをしてくれるでしょうかね〜

   

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