侑輝大弥『赤と黒』ライブ配信で堪能した湿度高めの色気とカーテンコールの可愛らしさ

花組・侑輝大弥主演の宝塚バウホール公演『赤と黒』を、本日のライブ配信で観劇しました。

スタンダールの小説を原作に、柴田侑宏先生がミュージカル化した『赤と黒』は、王政復古期のフランスを舞台に、貧しい家庭に生まれた青年ジュリアン・ソレルが、知性と野心を武器に上流社会へと駆け上がろうとする物語。出世への強い憧れから始まった恋が、やがて彼自身を破滅へと導いていく、愛と野心、そして人間のプライドが交錯する名作です。

私はこれまで柴田先生の脚本による2008年星組・安蘭けいさん主演版、2020年月組・珠城りょうさん主演版を映像で観てきましたが、今回の『赤と黒』は田渕大輔先生の演出によって、また新しい表情を見せてくれました。

そして何より、今回のジュリアンは、侑輝大弥くんだからこそ成立した「色気たっぷりのジュリアン」だったと思います!

花組バウホール公演『赤と黒』ライブ配信感想

プロローグから目を奪われる侑輝大弥の色気

まず、プロローグ冒頭。

白のフリル付きシャツに黒のパンツというシンプルながらも男役の美しさが際立つ衣装で登場するだいやくん(侑輝大弥)。
こちらに背を向けていたところから、ふっと振り返った瞬間の美しさに、思わず息を呑みました。

しかも、後ろへ下がっていく直前に浮かべる、ほんの一瞬の妖しい笑み!

「えっ、今の何!?」と思うくらいの一瞬なのに、ジュリアンという男の危うさと色気が凝縮されていて、いきなり心を掴まれました。

今回のだいやくんは髪型もとても似合っていて、ダークブラウンの髪に緩やかなカールがかかった顔周りのシルエットも美しい。
衣装も何度も変わりますが、特にマチルドと出会う執務室でのブルーの上着にブラウン系のベストとボトムスという組み合わせが本当に素敵でした。

野心、純粋さ、そして「湿度」のある色気

ジュリアンは、貧しい世界から抜け出して上へ行きたいという強い野心を抱いています。

その一方で、プライドが高く、自分の理想を追い求めるあまり、始まった恋によって自ら破滅へ向かってしまう。とても不器用で、ある意味では愚かな青年でもあります。

そんなジュリアンを、だいやくんは「野心家」だけではなく、どこか純粋さを残した青年として演じていました。
私はだいやくんのジュリアンはこの点で秀逸だと感じました。
安蘭けいさんも珠城りょうさんもトップになられた後、退団前年のジュリアンでした。フレッシュなだいやくんだからこそのジュリアンだったと思います。

そんなだいやくんジュリアンは親友フーケとの場面で見せる爽やかな笑顔は少年のようなのに、レナール夫人を誘惑する場面になると一変します。

表情、視線、声、距離感……すべてに色気があり、まさに「誘惑する男」でした。
二人の攻防がまるでダンスのように繰り広げられた末のキスも、とても美しく、だいやくんの目元に宿る色気にドキドキさせられました。

そして野心に燃えている時の、鋭く強い目。

爽やかな青年から、女性を誘惑する男、そして上流社会へ食い込もうとする野心家まで、ひとりの人物の中にあるいくつもの顔を、だいやくんがしっかりと見せてくれました。

まさに「湿度の高い色気」をまとったジュリアンです。

最後に見せる、静かな表情が印象的

そんなジュリアンが最後にたどり着くのは、破滅。

それまで自分の人生を必死に切り開こうとしていた男が、レナール夫人とマチルドからの愛、そしてフーケの変わらない友情を知り、静かに自分の運命を受け入れていきます。

ここで見せるだいやくんの表情が、とても印象に残りました。

それまでの鋭さや野心が消え、どこか穏やかで満ち足りたような顔になっている。
そして最後に流していた涙の美しさ……。

ジュリアンが最後にようやく「愛されていた」ということを知ったからこそ見せる、静かな涙だったように感じました。

「俺はただ生きたかっただけなのに」というジュリアンの言葉がよく似合う、純粋さを持った青年だったという感想にも頷けます。

共演者が作るジュリアンの世界

レナール夫人のことのちゃん(朝葉ことの)は、ジュリアンとの距離が近づいていくにつれて揺れ動く女性の心を繊細に表現。

マチルドのななちゃん(七彩はづき)は、誇り高い貴族令嬢らしさがありながら、ジュリアンに惹かれていく危うさも感じさせてくれました。

そしてフーケのまるちゃん(美空真瑠)の温かさ。
ジュリアンが最後に愛を知ることができたのは、レナール夫人やマチルドだけではなく、最後まで友人であり続けたフーケの存在が大きかったのだと感じました。

コラゾフ公爵のあっしー(夏希真斗)はスタイルの良さもさることながら、ちょっとした指先の動きまで華やか。ジュリアンを支える存在として舞台をしっかり締めていました。

シンプルなバウホールの舞台を生かした演出

今回、バウホールということもあって舞台装置そのものは大劇場公演ほど大掛かりではありません。
でも、それがむしろ作品に合っていたように思います。

階段の上に置かれた長椅子など、限られたセットを効果的に使い、人物の立ち位置や照明によって場面の空気を変えていく。

柴田作品ならではの様式美を大切にしながら、田渕先生が場面ごとの核心を浮かび上がらせていく演出も印象的でした。

フィナーレでは一転!花男のカッコよさ全開

そして、本編が終わるとフィナーレです。

だいやくん、別人じゃないですか!(笑)

あれほど湿度高めで危ういジュリアンだったのに、フィナーレでは一転してカッコよさ全開!

男役群舞では色気をたっぷり振りまき、その後の娘役との絡みでは、一人一人に対する視線や仕草がまるで「その女性だけを見つめている」かのよう。
これは客席もヒロイン気分になってしまいます(笑)

そして最後は、ことのちゃん演じるレナール夫人、ななちゃん演じるマチルドとの3人でのダンス。

本編でそれぞれ違う形でジュリアンを愛した二人と、真ん中に立つだいやくん。
その3人が並んで踊る姿が、なんとも神々しく美しかったです。

カーテンコールでは可愛らしい“だいやくん”に!

そして最後はカーテンコール。

だいやくんがまず、
「この公演はライブ配信となっております」
と客席に伝えると、大きな拍手!

そして「カメラの前の皆さんは……私たちですね(笑)」と自分たちを指して言い直すと、出演者も客席も大笑い。
「カメラの前にいるのは自分たちだった!」と気づいて、ちょっと照れながら言い直す姿が、もう可愛すぎました。

本編ではあんなにも色気たっぷりで、鋭い目をしたジュリアン・ソレルを演じていたのに、舞台を降りるとこんなに可愛らしいだいやくん。
このギャップがたまりません!

公演は残り2日ということで、最後までみんなで元気に走り抜けたいと挨拶。

バウホール初主演という大きな挑戦の中で、ジュリアンという難役をここまで魅力的に作り上げただいやくん。

色気、野心、純粋さ、そして最後の静かな美しさまで。
今回の『赤と黒』は、侑輝大弥という男役の新たな魅力を存分に見せてくれる公演だったと思います。
そして何より、本編のジュリアンとカーテンコールの可愛らしいだいやくんとの振り幅が最高でした。

実は、毎回のカーテンコールのだいやくんのご挨拶が面白いと評判です。
主演が決まった時は嬉しさと共に毎日のご挨拶のことを考えて不安になったとも話していただいやくん(笑)
そのだいやくんの人柄が大いに表れた可愛らしいカーテンコールのようです。

8月13日の千秋楽まで、この素敵な『赤と黒』の世界を楽しみつつ元気に駆け抜けてください!

  

読んで頂き、ありがとうございました。

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