花組、永久輝せあ・星空美咲トップコンビのプレお披露目公演『ドン・ジュアン』がいよいよ7月16日に御園座で始まります。
主演のひとこちゃん(永久輝せあ)と2016年に初演の『ドン・ジュアン』で主演した元雪組トップスターの望海風斗さんのトークが6月にタカラヅカニュースで放送されたんですが、未公開トークを追加した特別番組が初日を前に改めて放送されました。
望海風斗×永久輝せあ『ドン・ジュアン』スペシャルトーク
すっかり”女優さん”になった望海風斗さんとひとこちゃん(永久輝せあ)のスペシャルトーク。
この2人の並びは久しぶりに見るのですごく懐かしいです。
雪組2番手の時に主演した望海さんと、当時研6でラファエル役で出演したひとこちゃんが初演の『ドン・ジュアン』について思い出を語り、次の御園座公演にかける思いも語っていきました。
初演『ドン・ジュアン』の思い出
初演当時の作品に向き合っていた時の思いや、楽曲の難しさ、好きだった場面、フラメンコなどについて、2人で和気あいあいと懐かしそうに語り合っていました。
その中でとくに印象に残った話がありました。
ニーパッド
最後のドン・ジュアンとラファエルの決闘のシーンは見どころの一つですが、ラファエルが何度も地面に倒れてかなり激しい立ち回りが行われますね。
なので、ニーパッドが必需品だったそうです。
ラファエルは地面を転げ回るからズボンを破いてしまって、中のニーパッドにセットの赤い塗料がついてしまっていたんだそう。
ひとこちゃんはそのニーパッドを昨年終わりの全国ツアーの『激情』で使ったそうで、その赤い染みを見て『ドン・ジュアン』の決闘シーンは体当たり演技だったな〜と思い出したと話していました。
映像で見てもものすごく激しい立ち回り。
ズボンが破けて中のニーパッドに塗料が付くぐらいだったんだな〜と驚きました。
この話はとっておきエピソードですね。
セットについて
もう一つのとっておきエピソードがセットに関する話。
初演は舞台中央に真っ赤な円形の段が二段重なっていて、そこが酒場になったり戦場になったり広場になったりします。
次のセットはどうなるかな〜という話になった時に望海さんが話してくれたのが、初演のセットは壊されて、床の一部の0番の部分を四角く切り取って生田先生からもらったという話でした。
その時は2番手でまだトップになるかどうかわからない時期だったけれど、それをもらっていつかまた0番に立てるようにと思ったという話はすごくエモかったです。
ひとこちゃんもその話に「鳥肌が立ちました」って言ってたほどですからね〜
望海風斗からのアドバイス
このトークの間、楽曲の歌い方などいろんな話題で望海さんからひとこちゃんへのアドバイスがありましたが、とくに心に残った話がいくつかありました。
ペース配分について
望海さんは『ドン・ジュアン』公演時、もう今日終わってもいいぐらいの勢いでやっていたけれど、その時は二番手だったからエネルギーがものすごくあって、そのエネルギーを使い切ろうという気持ちでやれたそうです。
でもトップになったら責任の重さが違うから、ペース配分は絶対やった方がいいというアドバイスをしていました。
ひとこちゃんとしては途中で声が出なくなったりするのは嫌だけれども、ペース配分を考えるどこか冷静な自分がいるのが嫌なんですって。
でも後々のことを考えたら喉に無理はさせない方がいいし、難しいところですね。
望海さんは大劇場のお披露目が始まったらいやでもペース配分しなくちゃいけないから、この『ドン・ジュアン』が最後と思って思いっきり挑むのもありかもということも言ってました。
なんかそういう裏の突っ込んだ話を聞けたのもよかったです。
トップになるに当たって
今はどうしてもちゃんとやらなきゃという硬さを舞台に持って行ってしまうので、それを上手く手放せたら肩の力が抜けていい呼吸ができるようになるんだろうなと思っていると悩みを話すひとこちゃん。
それに対しての望海さんの答え。
二番手までの時ってトップさんになんとか付いていかなきゃ、盛り上げなきゃと自分のことに必死になってしまう。
でもトップになると周りのみんなが助けてくれるし、とくに今のようにトップになろうとしている時期だから周りはなんかあったら助けるよという感じでいてくれて、すごく頼もしく思えるようになるよと。
そんな風に環境が変わると周りに甘えられるようになって力みが減るし、あとは自分のことだけを考えていられなくなるから、そういう意味で自分のことに必死にならなくていいというような話をしていました。
さすがトップスターを経験した人のアドバイスです。
そして
「プレお披露目公演を前にして、プレッシャーや柚香光さんがやってきたものを自分が背負わなきゃという気持ちがあると思うけど、ダメな自分や葛藤する自分も楽しんで無理をしないで。
ファンの皆さん、共演者たち、スタッフさんの愛をめちゃくちゃ感じると思うので、それをパワーにして乗り切ってもらいたい」
と力強くひとこちゃんを励ましていました。
永久輝せあの作品にかける意気込み
ひとこちゃんが『ドン・ジュアン』について語った話で一番なるほど〜と思ったのは、このミュージカルの作者フェリックス・グレイさんが「これは戦いの話なんだ」と言っていたという話。
ひとこちゃん自身はそれまで愛と欲望の話だと思っていたけど、物語の始まりからマリアに出会って最後のシーンにつながる道のりで、ドン・ジュアンにとって過去の自分が最大の敵だという話を聞いてほほぅと納得したそうです。
物語はかなり難しい内容ですが、これからお稽古を重ねるにつれて一つ一つ掴んでいくことが増えていくんだろうなと思います。
ひとこちゃんが最後に言っていたのが、
「初演の『ドン・ジュアン』で自分もだけど周りの下級生達がお稽古中目の色が変わっていって、濃くて熱いお稽古期間を過ごせた。
今回その『ドン・ジュアン』という作品に向き合った時に何か一歩踏み出したとか景色が変わったみたいな感覚を一緒に出る子たちにも味わってほしい。
それが新しい花組としてのスタートのいいきっかけになるんじゃないかと思っている」
ということでした。
そして
「こういう役がちゃんと似合う男役になりたいという夢がかなった」
とはにかんで言うひとこちゃん。
本当にこの『ドン・ジュアン』という作品は初演でラファエルを演じたとても縁の深い作品ということも含めて、ひとこちゃん率いる花組のいいスタートになる気がします。
この2人のトークを聞いてますます楽しみが強くなりました。
読んで頂き、ありがとうございました。
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