瀬央ゆりあの新たな代表作となる予感が… 雪組『DayDream Dali』ライブ配信感想

本日4月19日、雪組『DayDream Dali』のライブ配信を視聴しました。
初日が明けて以降、観劇した皆さんが絶賛していて、とても楽しみに見ました。

奇想天外で奇抜な作品なのかなと思っていたら、とてもやさしくて、どこか温かい余韻の残る作品でした。
以下、ネタバレも含みます。ご容赦下さい。

瀬央ゆりあ主演、雪組『DayDream Dali』ライブ配信

夢と現実のあわいを描く、やわらかな構造

この作品は、サルバドール・ダリの人生をベースにしながらも、“白昼夢”の中で記憶や感情が行き交うような構成になっています。

せおっち(瀬央ゆりあ)演じるダリ本人や、星沢ありさちゃん演じるアマンダが語り部となって、過去の話や現在の状況を説明してくれるので、ストーリー自体もとてもわかり易かったです。
でもその説明セリフが展開上必然的で、全く違和感がないというのがすごいな〜と感心。

ダリの作品は、NOW ON STAGEによると諸事情から見せるわけにはいかないとのことですがw、いくつかの作品名が劇中に登場し、それが物語に重要な意味を持たせています。
それらの作品を知っているともっと理解が進むなと思います。

最後までダリの白昼夢の世界と現実の世界を行き来して、ハッピーエンドで終わる素敵な構成の作品でした。

瀬央ゆりあのダリがとても魅力的

主演のせおっち(瀬央ゆりあ)。
病床に横たわる老年のダリ、最初はどこか風変わりで掴みどころのない人物として登場しますが、物語が進むにつれて、少しずつその内面が見えてきます。

幼い頃のトラウマや、それを通じて出来上がってしまった若い頃のクセや性格。
それを打ち破ってくれたガラへの深い愛情。

ダリの失った過去の記憶を取り戻していくといった形で、そういったものが語られていくのが面白い。
登場人物たちが再現しているのを傍から見ているせおっちダリの表情が素晴らしくて、本当にお芝居の上手い人だな〜と感動しながら見ていました。

あの“個性的”な容貌の裏にあるものが表現された、深みのあるダリ像でした。

輝月ゆうま演じるガラという存在の大きさ

この作品を語る上で欠かせないのが、ガラの存在。

現実世界でのダリにとってのミューズであり、支えであり、時には導く存在でもある。
でも、非現実世界ではダリの世界を壊そうとし、自らを「ファム・ファタール」と呼んで悪役になろうとする。

まゆぽん(輝月ゆうま)の圧倒的な存在感と実力で、終始目の離せない存在でした。
そして、なぜそんな悪役になってしまったかの理由がまた泣かせます。

また現実世界ではダリの愛人であるアマンダとの三角関係に見えて、実は強固なダリとガラの結びつき。
この2人の関係性が、作品全体の軸になっていると感じました。

同期同士という関係も相まって、この2人のお芝居に胸が熱くなりました。
フィナーレでの仲良さそうな2人(しっかりキスシーンもあります)にほっこりもしました。

周囲の人物たちが“ダリの内面”を映す

登場する人物たちは、ダリの人生や内面を映し出す存在のように描かれていたのが興味深かったです。

特に道化として登場するかせきょー(華世京)のジョーカー・ナルシス。
そして、りーしゃさん(透真かずき)演じる聖アントワーヌも重要な役割を担っています。
実は意外な人だったというのが最後に明かされるんですが、それもすごく面白かったです。

他にも芸術仲間や過去の記憶の中の人々、それぞれがダリに影響を与え、彼を形作っていく。
現実の人物でありながら、どこか象徴的な役割も持っていて、物語に奥行きを与えていました。

セットと衣装の美しさ

舞台全体のビジュアルもとても印象的でした。
まず開演前からカチカチという時計の音が響いて、一幕が始まる前の時計の映像は開演時間の4時になっているのが驚き。
どうやら、毎公演その時の開演時間になっているそうです。

セットは、大きな卵や時計など、ダリの作品を思わせるモチーフが随所に散りばめられていて、そこに映像が加わって非現実的な世界観が表現されていました。
そして、衣装は非現実の世界の住人はもちろん、現実世界のパーティーの場面でも参加者の衣装がどれも奇抜で個性的、でも懐かしさも感じました。

全体を通して、幻想的でありながらどこか温度を感じる空間で、視覚的にもとても満足度が高かったです。

刺さるセリフもたくさん

現実世界と非現実世界を行き来し、ストーリーとしては決してシンプルではありません。
でも、全く複雑に感じることはなくて、全体を包んでいる空気はとてもやわらかい。
そして、立ち回りや、エンターテイメント的なダンスナンバーもあって、楽しませてもくれますが、もちろんそれだけでなく、胸に刺さるセリフもたくさんあります。

特に心に残ったのは、ダリとパブロ・ピカソとのやり取りでの言葉の数々でした。
「世界への愛」「世界の真実への愛」というセリフにグッときました。

そして、美しい舞台、繊細な人物描写、やさしく包み込むような空気感、これらが重なって、観終わった後にじんわりと心に残る作品でした。

ライブ配信でも十分にその魅力は伝わってきましたが、できれば、劇場の空間でこの世界を体感してみたいなと思わせてくれる、とても豊かな一作でした。

瀬央ゆりあのカーテンコールでの挨拶

せおっちにとって雪組生となって初めての主演作品、そして前回の、『ザ・ジェントル・ライアー』から4年ぶりの主演作品となるこの作品。
この学年ならではの貫禄ある、でも繊細なダリ像を表現していて、せおっちの新たな代表作となる予感がします。

カーテンコールではユーモアたっぷりに
「この作品が、一度見たら忘れられない、絶対に記憶にこびりつく」
と初日と同じ様に言ったかと思ったら、その後
「いや、Blu-rayにもこびりつく!ライブ配信の皆様にもこびりつく!作品となることを願っております」
って(笑)

最後は
「グラシアス!本日は誠にありがとうございました!!」
とドヤ顔でやってくれました。

最後までせおっちらしいせおっちで、めちゃくちゃ晴れやかな気分でライブ配信を観終えました。

  

読んで頂き、ありがとうございました。

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