先日東京宝塚劇場で宙組公演を観て来ました。
評判を目にしてショーもお芝居も楽しい作品なんだろうなと思っていましたが、実際に観劇すると想像していたよりもさらによかったです。
キキちゃん(芹香斗亜)の退団公演にふさわしい良い作品でした。
もちろん、次期トップスターのずんちゃん(桜木みなと)はどちらでも大活躍でした。次に宙組を背負って立つ準備が十分できていることを感じました。
宙組東京宝塚劇場公演『宝塚110年の恋のうた』『Razzle Dazzle』観劇
『宝塚110年の恋のうた』
ショーの『宝塚110年の恋のうた』は、前回の『Le Grand Escalier』の日本物板のような感じなんですが、それだけでなくとても凝ったよくできた構成だったことに感心しました。
最初のチョンパも嬉しい。
キキちゃん(芹香斗亜)演じる藤原定家とさーちゃん(春乃さくら)演じる式子内親王の悲恋を軸にしつつ、コミカルで笑える場面もあり、宙組の各スターたちに宝塚の日本物の作品の主人公を演じさせるという見せ場があるのも素晴らしい。
事前にリクエストで募った中から源氏物語にまつわるもの、忠臣蔵や新選組にまつわるもの、七夕の場面では男女の出逢いにまつわるものと作品が選ばれていて、知っている曲もたくさんあったので、つい心の中で一緒に歌ってしまいました。
それに漏れた作品も「歌うま神社の場面」で、週替わりで登場するというのがまた嬉しいです。
おみくじの様なくじでその回に歌う歌手が選ばれ、「ザ・ベストテン」のように曲名が発表されるのも面白い。
これまで『元禄バロックロック』『JIN-仁』『壬生義士伝』『夢千鳥』なんかもあったそうです。
この作品オリジナルの「定家葛」の場面も切なさと幸せ感がいっぱいで素敵でしたし、定家と式子内親王の和歌の読み合いでは笑わせてももらえて、実に楽しい場面でした。
そして、平安絵巻から武士や芸者衆、若衆姿まで、宝塚の日本物の華やかな衣装がこれでもかと見られて目にも幸せでした。
桜木みなとが俳優(わざおぎ)八千代を熱演
キキちゃん演じる定家が式子内親王を亡くし、もう二度と恋の歌など作るものかとなったところで登場するのがずんちゃん(桜木みなと)演じる俳優(わざおぎ)の八千代。
あの春日野八千代先生がモデルなんですが、この八千代がずんちゃんのキャラそのままでめちゃくちゃお茶目なんです(笑)
登場シーンの「シャネルのNo.5ですよ」が粋で笑えました。
この八千代と京三紗さん演じる衣通姫の2人がコミカルにストーリーを進める役目を担っていて、この2人のシーンではたくさん笑いが起きていました。
定家が「二度と恋の歌を作らない」と言い出すと、自分は110年の間ずっと恋の歌を歌い続けてきたのでそれは困ると、定家に七夕の彦星や新選組の沖田総司を演じさせる八千代。
自分自身も坂本龍馬に扮したりして。
昭和の戦中戦後の場面では日本物のしゃべ化粧に黒燕尾という姿で登場して、これまた真っ白な顔に真っ白なドレス姿の天彩峰里とダンスを踊ったりして。
NOW ON STAGEで「ショーなのに台本がある」と言っていましたが、かなりお芝居要素の強いショーで、とくにずんちゃんの八千代は歌う場面よりセリフを話す場面の方が断然多かったです。
でもこの八千代がいいスパイスになっていて、構成をわかりやすくしていたのがとてもよかったです。
芹香斗亜から桜木みなとへのエールのようなセリフに感動
最後の大団円の前にはまた定家と八千代のやり取りになって、そこでのセリフがぐっと胸に迫るものでした。
やはり恋の歌を歌うのをやめにしようと言い出した定家、びっくりした八千代に
「私は800年以上恋の歌を歌い続けてきた。君はたったの110年じゃまだまだ歌い足りないだろう?」
と問いかけます。
そして「ここにはいつだって恋の歌があって、恋の歌を歌う人たちがいる。私はそれをいつまでも見守り続けよう」
なんて、宝塚をもうすぐ去るキキちゃんが言うのを聞いて涙が出てしまいました。
最後は「111年目の恋の歌を聞かせてくれ」というようなキキちゃんのセリフがあって、ここでずんちゃんが歌うんですよね。
これからの宝塚を、そして宙組をキキちゃんからずんちゃんが引き継いでいくことを思わせる素敵な演出でした。
『Razzle Dazzle』
『宝塚110年の恋のうた』がお芝居仕立てのショーなら、『Razzle Dazzle』はショー仕立てのお芝居でした。
開演アナウンスの前からオケの演奏が始まって客席も手拍子しながらノリノリ。
プロローグの冒頭でキキちゃん(芹香斗亜)が登場すると「ヒュ〜〜!」という歓声が上がって、まるでコンサートのようでもありました。
ストーリーはハリウッド映画のロマンチックコメディのようにわかりやすくて、そしてスタイリッシュでシンプルに楽しめました。
主人公のレイモンドは最近のキキちゃんにはあまりなかった世間知らずで大人になりきっていない青年で、最後にこういう役が見られて楽しかったですし、キキちゃんに合ってるな〜って思いました。
世間知らずで放蕩者の“ハリウッド一裕福な孤児”レイモンドが、ドロシー(春乃さくら)との真実の愛を知り、そしてエキストラ仲間と知り合うことで夢を追いかけることの大切さを知る成長物語が素敵でした。
途中のダンスシーンもすごく楽しかったですし、最後に客席降りのあるショーのようなシーン、そしてフィナーレがあって、終演後にまでオーケストラの演奏があってお客さんみんなで手拍子をして大盛り上がりのうちに終わるのも最高でした。
桜木みなと演じるトニー役がカッコいい
レイモンドに賭けを提案する親友のトニーのずんちゃん(桜木みなと)がまたいい役でした。
キキちゃんがトップになる前は敵同士だったり違うグループだったり(中には恋人同士の役もありましたが)、そしてトップになってからもここまで親友同士な役は初めてですよね。
最後にこういう関係の役ができてよかったです。
それも大人になりきっていないレイモンドに比べてトニーは大人の男性で、レイモンドを温かく見守る役です。
アビーとの結婚を渋るレイモンドに例の賭けを提案するのも、レイモンドに真実の愛を知ってほしいという思いがあるからです。アビーからその賭けの当て馬になるよう言われてレイモンドの邪魔をするように見せてても、実はレイモンドを応援してる友達思いなトニー。
佇まいや所作も大スターらしく粋でカッコいいです。
キキちゃんのアドリブに振り回されるところもありますが…(笑)
そして、劇中劇の映画『バビロンの落日』の撮影シーンでのトニーがまた素敵過ぎました。
バビロン王役のトニーは超豪華な衣装を着て、相手女優のシャーリーン(瑠風輝)が演じる王妃と君臨する姿が『壮麗帝』のスレイマン皇帝を思わせるようなオーラがありました。
いつかこの作品で主演するずんちゃんが観たいな〜なんて思っちゃいました(笑)
「Over the Rainbow」の場面で桜木みなとを中心に…
物語の終盤、『バビロンの落日』の映画制作が中止になることになって、それを諦めたくないトニー達映画関係者が歌う「Over the Rainbow」という曲が本当に素晴らしかったです。
パンフレットに歌詞も載っていましたが、ほんとすごくいい歌詞なんです。宙組生のコーラスも素晴らしい。
これまでの宙組の険しい道のりと、これからの明るい未来を思わせて涙がこみ上げるほどでした。
そしてずんちゃんが乗ったせりが上がっていって、そのずんちゃんを中心にみんなが歌い上げるところは、宙組を率いるトップスターのずんちゃんが見えて感動しました。
フィナーレでも桜木みなと大活躍
お話の最後ハッピーエンドで大団円になり、客席降りが終わった後、ずんちゃんともえこ(瑠風輝)の歌唱指導でフィナーレが始まります。
なので客席降りにこの2人がいなかったのはちょっと残念。
でもずんちゃんとシャーリーンの姿のもえこが上手と下手の花道でせり上がってくるのはめちゃくちゃカッコよかったです。
そういえばこうやってフィナーレで歌唱指導に出るのはこれが最後ですよね〜
それが『カルト・ワイン』でコンビを組んだもえこと一緒で、それもなんか嬉しかったな〜
もえこは次のずんちゃんのプレお披露目公演の『ZORRO THE MUSICAL』に出たら、その後星組へ組替えしてしまいます。
大劇場公演で2人で一緒に歌うのはこれが最後です。
その後ロケット、キキちゃんと娘役達の場面ときて、キキちゃんを中心とした男役群舞。
これもめちゃくちゃカッコよかったですが、キキちゃんがはけてからずんちゃんを中心とした男役群舞になって、これがまた最高でした。
ずんちゃんが一人ずつと絡んでいったり、ソロで踊る男役をずんちゃんが煽ったり、ヒュ〜ヒュ〜掛け声をかけながら楽しそうに踊るみんなの姿が素敵すぎて、ここでまた涙が…
先日のカフェブレイクでずんちゃんが次のトップスターになる心境を話していました。
自分は宙組しか知らないけれど宙組をよく知っているので、先輩方が続けてくれた宙組のいい戦力になりたいと頑張り続けてきた。
その宙組をこういう形で引っ張っていけるというのは、下級生の頃大好きな宙組にずっといたいと思ったその思いが叶ったという気持ちだと。
それと頑張らなきゃなと引き締まる思いもあって、今は複雑な心境だと話しました。
ずんちゃんの話し方を聞いていると、本当に複雑な心境でいるんだなという表情でした。
トップスターになる前の誰もがそうだと思うんですが、きっと嬉しい気持ちと不安な気持ちが入り混じっているんでしょうね。
でもきっとずんちゃんなら大丈夫だと確信しています。
もう実力も十分ですし、これまで組の3番手、2番手としてトップさんを支えてきた経験も十分過ぎるほどありますし。
ずんちゃんが率いる宙組が本当に楽しみで、大いに期待しています。
プレお披露目の『ZORRO THE MUSICAL』観に行きたいな〜
読んで頂き、ありがとうございました。
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