タカラヅカニュースの観劇がより楽しくなるとっておき情報を紹介するコーナー「知っトクTAKARAZUKA」では、月組公演『RYOFU』の脚本・演出を手がけた栗田優香先生へのインタビューが放送されました。
月組スカイ・レポーターズのやすくん(佳城葵)とももちゃん(桃歌雪)のMCで、作品をより深く楽しめる制作秘話がたっぷりと紹介されました。
知っトクTAKARAZUKA 月組公演『RYOFU』
なぜ“三国志”なのか、そして呂布を主人公にした理由
栗田優香先生が三国志と出会ったのは約6〜7年前。
当初から「すごく宝塚に合いそう」と感じていたものの、スケールの大きい題材であることから温め続け、鳳月杏と天紫珠李のトップコンビ誕生をきっかけに満を持して実現した作品だといいます。
「劇団にぜひやりたいと自分で言いに行きました」というところに、思い入れの強さが伺えます。
中でも注目すべきは、主人公に呂布(鳳月杏)を据えた点。
一般的には“裏切り者”として描かれることの多い呂布ですが、栗田先生は「なんでこの人こういう行動したんだろう」という疑問から創作意欲を掻き立てられたと語ります。
単なる欲に流された人物ではなく、“そうせざるを得なかった理由”を持つ人物として再構築することで、よりドラマ性のある物語へと昇華。
さらにヒロイン貂蝉にも新たな解釈を加え、オリジナル要素として雪蓮というキャラクター設定が生まれました。
雪蓮(貂蝉)と董卓の新たな人物像
じゅりちゃん(天紫珠李)が演じる雪蓮は、ただの何不自由無く育ったお嬢様ではなく「誰かのために何かをしたい」という強い意志を持った人物。
記憶を失ってもなお、その本質が行動に表れるように描かれており、じゅりちゃんに重ねて構築されたキャラクターであることも印象的です。
またおだちん(風間柚乃)が演じる董卓についても、従来の“私欲の権化”というイメージを覆すアプローチが取られています。
「人がついていきたくなる魅力があったはず」という視点から再解釈され、秦の始皇帝などの歴史上の人物も参考にし、カリスマ性と危うさを併せ持つ人物像に。
参考として挙げられたのが、『デスノート』の夜神月。
理想を掲げながらも破滅へ向かう姿に通じるものを重ねている点も興味深いところです。
こだわりの場面と“刺さる台詞”
栗田先生が「これがやりたくて書いた」と語るのが、呂布の“ご乱心”のシーン。
歌舞伎的な残酷美を意識しつつも、悲しみや哀愁を根底に抱えた人物が我を忘れて刀を振り回している場面として描くことで、色気と切なさが同居する印象的な場面になっているそうです。
また台詞にも強いこだわりがあるそう。
呂布(鳳月杏)の「黙れ雑魚が」や、李粛(礼華はる)の「笑止」「刮目せよ」、董卓(風間柚乃)の「『しかし』とぬかした咎だ」、それから雪蓮(天紫珠李)の「今宵地獄へ連れゆかん!」など、インパクト抜群のフレーズが多数登場。耳に残る台詞も見どころのひとつです。
“三国志演義”ではなく“三国志炎戯”
本作のキーワードとなるのが「炎」。
赤兎馬と炎の精というファンタジー要素が加わり、「三国志演義」ではなく「三国志炎戯」として物語が展開されます。
赤兎馬と炎の精は“人々の大きな感情を食らって生きる存在”として設定されており、栗田先生自身も「自分が赤兎馬なのかもしれない」と語るほど、演劇における“感情のエネルギー”を象徴する存在となっています。
また、婚儀の場面に紛れ込む炎の精の演出など、運命に導かれる流れを視覚的に示す工夫も印象的です。
セット・衣装・殺陣のこだわり
舞台セットでは、炎や川のシーンが特に見どころで、栗田先生も気に入っているとか。
また、同じ東屋のセットを複数の場面で使いながらも、全く違う印象に見せる工夫が施されており、舞台装置の國包洋子先生のアイデアが光ります。
衣装面では、今回初めてジャッキー・チェンの衣装も担当している本格的な中国のメーカーに発注した甲冑を使用。
重さや厚みを調整しながらもリアルさを追求し、呂布のビジュアルを圧倒的な存在感で表現しています。
呂布といえばの翎子(りんず)や方天画戟、そしてその甲冑にマントというフル装備でプロローグに登場しているのでかなり大変なんだそうですが、すごくカッコいいちなつちゃん(鳳月杏)が見られるとか。
また舞姫や貂蝉の衣装は、最初に加藤真美先生が、時代考証通りのものと時代考証を無視した華やかなものの2パターンの衣装デザインを描いてくれて、栗田先生が時代考証よりも華やかな中国らしさを選んだということでした。
さらに殺陣は『悪魔城ドラキュラ』も担当した諸鍛冶裕太先生によるもので、
大きく華やかで“ケレン味”のある動きが特徴。
プロローグでは振付と融合した高度な構成となっており、振付の麻咲梨乃先生と諸鍛冶先生と月組生の協力のもと、迫力あるシーンに仕上がっているとのことです。
ミニ知っトクポイント
ここで舞台美術に関する「ミニ知っトクポイント」。
三国志の中に、曹操が王允から七星宝刀という剣を授かって董卓の寝込みを襲おうとするも、鏡に反射してキラッと光り、それで董卓が目を覚ましてバレてしまうというエピソードがあるそう。
そこから「董卓の寝所には鏡が置いてあるはず」と、舞台小道具として董卓のベッドの横に鏡を置いたそうです。
これは三国志マニアには嬉しい見どころポイントですね。
音楽と月組の魅力
音楽は手島恭子先生が担当。
栗田先生と手島先生が一緒に作品を作るのは今回で4作目だそうです。
中国らしさを感じさせる「梅花逢君」というデュエット曲や「蓮貂奇譚」という中国語歌詞の楽曲、そして“闇と熱さ”を併せ持つ主題歌など、多彩な音楽が作品を彩ります。
そして栗田先生が語る月組の魅力は、ちなつちゃん(鳳月杏)のストイックさと朗らかさを中心に、全員がのびのびと芝居に取り組んでいる点。
特に群像劇として重要な“ガヤ芝居”の完成度の高さを絶賛しており、細部まで作り込まれた舞台であることがうかがえました。
ガヤ芝居を褒められたことには、やすくんとももちゃんも大変光栄だと喜んでいました。
そしてここで楽曲に関するミニ情報が。
呂布の母親役のももちゃん(桃歌雪)が劇中で歌う歌は、実はプロローグで呂布が歌っている曲と同じなんだそうです。
呂布が人を殺めるけものと化してから歌う歌なので、お母さんが歌う歌とは歌詞が全く違うんですが、同じメロディを歌っているというところに、呂布の悲しみや切なさが感じられます。
こういうミニ情報を知って観劇すると、またさらに楽しめますね〜
『RYOFU』は、三国志演義という古典をベースにしながらも、人物像の再解釈やファンタジー要素を取り入れた“新たな三国志”とも言える作品。
「炎」をテーマにした壮大な物語の中で、人間の感情や生き様がダイナミックに描かれる本作。
今回のような制作秘話を知ることで、舞台の一つひとつの場面や台詞、演出の意図がより鮮明に見えてくるはずです。
観劇の際にはぜひ、こうした裏側にも思いを巡らせながら楽しみたい一作です。
読んで頂き、ありがとうございました。
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