7月25日に初日を迎えた宙組東京宝塚劇場公演『黒蜥蜴』と『Diamond IMPULSE』を先日観劇してきました。
ずんちゃん(桜木みなと)がトップスターに就任してからの宙組公演は、プレお披露目の『ZORRO THE MUSICAL』は劇場で観ることができましたが、大劇場お披露目公演はライブ配信での観劇でした。
そのため、今回がずんちゃんを中心とした宙組全員の公演を生で観るのは初めて。
そして何より、宙組2番手として活躍するマイティー(水美舞斗)を劇場で観るのも今回が初めてでした。
花組時代は何度も観てきましたが、宙組生としてのマイティーをようやく観ることができました。
お芝居『黒蜥蜴』ではかなりクセの強い役を怪演し、ショー『Diamond IMPULSE』では抜群の身体能力と男役としての華やかさを存分に発揮。
今回は、そんなマイティーを中心に、お芝居とショーに分けて感想を書いてみたいと思います。
宙組東京宝塚劇場公演『黒蜥蜴』『Diamond IMPULSE』観劇
『黒蜥蜴』――妖しく濃密な世界に引き込まれる
江戸川乱歩原作の『黒蜥蜴』は、もともと大好きな作品です。
2007年に花組で上演された春野寿美礼さん主演版を映像で何度も観ていて、私にとってかなり思い入れのある作品。
今回の観劇前には、同じ三島由紀夫戯曲をもとにした美輪明宏さん主演の映画版も見直していたので、期待を膨らませて劇場へ向かいました。
そして実際に舞台を観てみると、まず圧倒されたのが、ずんちゃん演じる明智小五郎のスタイリッシュで理知的なカッコよさ。
そして、さーちゃん(春乃さくら)の黒蜥蜴。
さーちゃんの黒蜥蜴は、これまでのさーちゃんの役では見たことがなかったような迫力と圧の強さ、そして同時に妖しい美しさも感じました。
セット転換や照明も非常に効果的で、舞台上に現れる生人形役の下級生たちの演技も含めて、現実とは少し離れた、妖しく危険な『黒蜥蜴』の世界観を見事に作り上げていたと思います。
そして、そんな世界の中で私が特に目を奪われたのが、マイティー演じる雨宮潤一でした。
水美舞斗の雨宮潤一――「湿度の高い愛情」が怖くて切ない
今回の宙組版では、雨宮潤一の設定が大きく変更されています。
原作では、恋人とその浮気相手の男性を殺して逃げているところを黒蜥蜴に助けられ、その恩から彼女の手下になるという人物。
しかし今回は、その設定がまっぷーさん(松風輝)演じる松吉に置き換えられています。
では、雨宮はどういう人物なのか。
戦後すぐ、12、3歳の頃に天涯孤独になり、そこで妖艶で魅力的な黒蜥蜴と出会う。
そして黒蜥蜴に母性のようなものまで感じ、心酔していく。
この設定を踏まえて見ると、マイティー(水美舞斗)の雨宮が見せる表情や仕草の一つ一つが、本当に「湿度の高い、歪んだ愛情」を感じさせるのです。
特に印象的だったのが、銀橋で歌うソロ「クロロフォルムのハンカチ」。
歌詞だけを追えばゾッとするような部分もあるのですが、雨宮がなぜそこまで黒蜥蜴を愛してしまったのかを考えると、その愛情の奥にある孤独や、「愛しているのに振り向いてもらえない」という哀しさが見えてきて、思わず心を動かされました。
警察をうまく煙に巻き、黒蜥蜴から「よくやった」と褒められた瞬間に、ニヤッと嬉しそうな表情を浮かべるところも印象的。
早苗の誘拐に失敗して黒蜥蜴に怒られ、ビンタまでされるのに、それすら喜びとして受け止めているように見える倒錯した愛情にもゾクゾクしました。
そして、「いつになったら爬虫類の称号をいただけるんですか!?」と黒蜥蜴にすがるように迫りながら、邪険に扱われてしまう雨宮。
その姿には、怖さだけではなく、どうしようもない哀しさもありました。
さらに今回、私が特にゾクゾクしたのが、じゅっちゃん(天彩峰里)演じる岩瀬早苗の身代わりの桜山葉子との関係です。
花組版では、誘拐された時に優しく接した雨宮に葉子が惹かれ、牢屋で一緒になった時にお互いの境遇にさらに惹かれ合って、やがて愛し合うようになっていきます。
今回の雨宮も葉子を助けるようとするのですが、その理由がまた怖い。
葉子を助けることで、黒蜥蜴に嫉妬してもらいたいって。
そして実際に自分も牢屋に入れられたことで、黒蜥蜴に嫉妬してもらえたと喜ぶのです。
この時のマイティーの表情が本当に秀逸でした。
「そこまでして黒蜥蜴に振り向いてほしいのか」とゾッとする一方で、彼の人生を考えると切なくもなる。
最後まで「この人は一体何を考えているんだろう」と掴みきれない雨宮。
また、ラストの2人についてはマイティーが「100通りの見方がある」というようなことを話していましたが、まさにその言葉通り、観る人によって雨宮と葉子の関係の受け止め方も変わってくるなと思いました。
結局、2人は本当に愛し合うようになったのか。
それとも――。
あえて答えを観客に委ねるようなラストも、私はとても好きでした。
最後まで一筋縄ではいかない雨宮を演じ切ったマイティーを観て、「さすがだな」と唸らされました。
『Diamond IMPULSE』――水美舞斗の魅力が炸裂!
そしてショー『Diamond IMPULSE』。
こちらでは一転して、マイティー(水美舞斗)のカッコよさにひたすらテンションが上がりました(笑)
プロローグから「きたきた〜!」
まずプロローグ。
トップスターのずんちゃん(桜木みなと)がゴンドラで降りてくるより前に、下手の花道からマイティーが、上手の花道のさーちゃん(春乃さくら)と同時にせり上がってきます。
ここで早くも「きたきた〜!」とワクワク。
しかも、その後のダンスではマイティーの身体能力を生かした高い跳躍など、キレッキレの動きが次々と飛び出してきて、もう目が離せません。
銀橋での歌い継ぎでは、ずんちゃんにバトンタッチする瞬間に2人がガシッと手を繋ぐ場面も。
同期である2人の絆が感じられて、とても良かったです。
「怪盗M」ではコミカル&スタイリッシュ
マイティーが主役となる第2章「怪盗M」も楽しかった!
コミカルな部分もある場面ながらも、やっぱりスタイリッシュでカッコいい怪盗マイッティー。
そして、じゅっちゃん(天彩峰里)演じるミネッリーとの可愛らしい恋模様にもキュンとさせられました。
11分間の「中詰め」に釘付け
スペクトラムの楽曲を使った約11分にも及ぶ中詰めは、とにかくエネルギッシュ。
「ワッチコン!」から始まり、途中衣装替えもありながら、終始大盛り上がり状態の中詰めでした。
マイティーが真ん中で組子たちを率いて歌い踊る場面では、私はずっとマイティーの姿をオペラグラスで追っていました(笑)
男役が銀橋にずらりと並ぶ場面では、ずんちゃん、こってぃ(鷹翔千空)と3人で絡むところが本当に色っぽくて、思わずドキドキ。
男役の魅力がぎゅっと詰まった場面でした。
「Final IMPULSE」で見えた圧倒的な求心力
そして「Final IMPULSE」の男役群舞。
ずんちゃんがはけたあと、マイティーがセンターになって踊る場面があるのですが、ここがまた素晴らしい!
男役たちを引き連れて踊る姿に、2番手としての貫禄だけではなく、舞台の中心に人を集めるような求心力を感じました。
そして最後のパレード。
ようやく宙組で2番手の大羽根を背負うマイティーを生で見ることができたと感動しました。
前回公演の映像では見ましたが、実際に劇場で目の前にすると、やっぱり感慨深いものがあります。
これからの宙組がますます楽しみに
お芝居もショーも非常にレベルが高く、観劇後は大満足で劇場を後にしました。
『黒蜥蜴』では濃密で妖しい世界に引き込まれ、『Diamond IMPULSE』では宙組全体の熱量に圧倒される。
そして何より、今回の観劇で強く印象に残ったのがマイティーの存在感でした。
お芝居では、湿度の高い歪んだ愛情を抱える雨宮潤一を繊細かつ大胆に演じ、ショーでは身体能力、華、色気、そして2番手としての貫禄を存分に発揮。
「やっぱりマイティーってすごいな」と改めて感じる観劇になりました。
次の別箱公演ではマイティーは外部出演となりますが、その先には宙組の次回大劇場公演『The London Way』『Ivresse Vague』も待っています。
今回、ずんちゃん率いる宙組全体を初めて生でしっかり観ることができて、そしてマイティーの宙組での存在感を劇場で体感できて、本当によかったです。
これからさらに進化していく宙組が、ますます楽しみになりました。
読んで頂き、ありがとうございました。
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